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中国人ピアニスト、ラン・ラン 引っ張りだこ 映画「のだめ」で演奏

2010年5月20日

写真:インタビューの前に1曲弾くラン・ラン。気さくな人柄だ=古川透撮影拡大インタビューの前に1曲弾くラン・ラン。気さくな人柄だ=古川透撮影

 公開中の映画「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」で主人公、のだめが弾くピアノを実際に演奏していたのは誰? 正解は、米国を拠点に活躍する中国人ピアニスト、ラン・ラン(郎朗)だ。上海万博の親善大使も務め、開会式で演奏するなど、多忙を極めている。1泊だけの来日を機に話を聞いた。

 奔放にして繊細な弾きっぷりに、まだ27歳という若さ。なるほど、のだめにぴったりだ。映画の撮影では、のだめ役の上野樹里に音楽の解釈や指の動かし方をアドバイスするなど、「すばらしい時間をすごした」と振り返る。

 苦労もあった。「バロックから現代音楽まで、広範な曲をストーリーに合わせなくちゃいけない。のだめの気持ちや成長を考えつつ、自分流の解釈を入れた。チャレンジングだった」

 原作のコミックも読んだそうだ。もともと、「ドラえもん」や「ドラゴンボール」などが好きな日本マンガの大ファン。13歳のとき、仙台市で開かれた「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」で優勝して以来、来日を重ねては日本文化に親しんできた。

 「日本人の、礼儀正しく、完璧(かんぺき)をめざす精神が好き」という。かつて日本が支配した中国東北部の瀋陽の生まれ。日本への反感はないのだろうか。

 「理解しあえない点は今も残っているけど、衝突は世界中にある。僕らの世代にとって、未来への友好関係の方が大事」

 57歳の父は、中国の弦楽器、二胡(にこ)の奏者。所属していた空軍のオーケストラが解散し、音楽家の道を断念して警察官に転じた。その指導で3歳でピアノを始め、9歳で北京の中央音楽院へ。18歳でカーネギーホール初公演を果たしたとき、父を呼び寄せて共演した。

 父への思いは、世界の子供たちの音楽教育に力を入れる姿勢にも通じる。「どんなに不幸な状況でも、音楽があれば、明日も生きようと思える。そんな夢を伝えたい」

 おととしの北京五輪開会式で、隣の幼い少女をあやすように演奏する姿が印象に残る。「早く家に帰りたい、と少女がぐずって……」。笑いながら「秘話」を明かす。

 上海万博の開会式は4月30日だった。「周りで大勢が踊って自分のピアノも聞こえなかった北京五輪とは違い、聴衆も楽しめただろう。この万博を、各人・各国が互いに理解を深め、将来に向けた文化を広める場にできればいい」

 万博中心の活動が半年は続く。「新譜が出る晩夏ごろ、また来日するつもり。来年の日本公演も楽しみ」。日本好きの気持ちが伝わってきた。(編集委員・隈元信一)

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