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ジャンルを越境、しなやかに 箏奏者・片岡リサ

2010年6月7日

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 「春の海」で知られる宮城道雄の孫弟子にあたる。クラシックと邦楽を豊かに融合させた宮城を追い、声楽も本格的に学ぶ異色の箏(そう)奏者だ。東京オペラシティの若手シリーズ「B→C」に、箏奏者で初めて登場する(15日東京、29日大阪)。

 大阪の下町っ子。ピアノと歌が大好きだったが、厳しいレッスンは苦手。ある日、父に連れられて琴の教室を訪れた。歌と楽器が、自然に手を携える世界。心にしっくりきた。

 頭角を現し、コンクールに次々入賞。東京芸大にも合格する。しかし東京行きを前に、ある思いにぶちあたる。私は、プロになるためだけにお琴を弾いてきたんだろうか――。

 「おっちゃんたちが真っ昼間からお酒を飲んでいるような開けっぴろげな大阪の街が、私の感性を育ててくれた。やっぱりこれからもこの町で、楽しく琴を弾いていきたい」

 大阪音大に進学し、オーケストラと宮城の協奏曲で共演。「伝統音楽も、あこがれのクラシックと同じ音楽だった」。ジャンルの境界を越え、音楽でつながる愉悦を知った。

 クラシック歌手と共演する宮城の曲を独りで弾き、歌うべく、文化庁の国内研修で1年間声楽を勉強した。特殊奏法よりも美しいメロディー、現代曲に向いた20弦より伝統の13弦に心ひかれる。「制約の中にこそ自由がある。私は私が『キレイ』と思う世界を表現していくだけ」

 伝統の世界で、自分をしなやかに貫く。そのための試行錯誤を心から楽しんでいる。(吉田純子)

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