会見1時間以上前から、報道陣の長蛇の列ができた
会見後、草なぎ剛さんが出てくるのを待つカメラマンやファン(24日、東京・表参道)
24日夜9時、東京・表参道のレコード会社で行われた草なぎ剛さん(34)の謝罪会見は、約300人がすし詰めになり、異様な熱気に包まれた。しかし、飲み過ぎて裸で騒いだ経緯は「分からない」「覚えていない」ことばかり。どこか気の抜けた30分間の“狂騒曲”だった。(アサヒ・コム編集部)
会見の1時間半前には、レコード会社前に100人を超える報道陣が長蛇の列を作った。歩行者の多い金曜夜の表参道に、テレビ局の中継車がずらりと並んだ。
この会見は、草なぎさんが所属するジャニーズ事務所が開いた。会見の模様を映した写真や映像をウェブやBS・CS放送で使用することを、事前に禁じた。草なぎさんがテレビでPRしているデジタル放送のウリでもあるワンセグ放送での利用も不可とした。
それでも、会見場の7階会議室に約300人が詰めかけ、汗だくの人も多かった。ざっと、テレビカメラ15台、カメラマン30人、草なぎさんと弁護士が並ぶ机には20本以上のマイクが並んだ。既に、一部テレビカメラが回り始めた午後8時58分、事務所関係者が突然、アナウンスした。
「生中継はご遠慮下さい」
理由説明もないこの連絡に、生中継を予定していたNHKの記者は「今さら言われても困る。間に合わない」と気色ばむ場面も。
冒頭、草なぎさんはカメラのフラッシュを浴び続けながら、次のように反省を述べた。
「たくさんお酒を飲んで、自分でも分からなくなって、大人として恥ずかしい行動を起こしてしまいました」
だが、その後は弁護士が引き取り、捜査が継続中であることを理由に、事実関係に関する質問を本人にしないよう求めた。
この弁護士が経過を代弁した。
それによると、草なぎさんは自宅近くの居酒屋で1人で飲んでいた。閉店後、同店の経営者と女性従業員の3人で飲んだ。その後、女性を連れていたとも報じられたバーに行ったかどうかは、「本人は言われてみれば、そこに行ったかもしれないということで、ひょっとしたら行ったかもしれません」。また、公園で騒いだことについて「本人は全く記憶にないありさまでして…自分の家と勘違いしたのかという気もしますが、真偽のほどは分かりません」。
新事実といえば、草なぎさん本人が語った「ビールを5杯くらい飲んで、焼酎3杯くらいまでは記憶がある」ということぐらい。
会見のキーワードは「大人としての自覚」だった。34歳の草なぎさんは、冒頭の発言にもあったように「大人」という言葉をたびたび使った。
今後の酒とのつきあい方を問われて、「僕がもっと成長して大人になって、友達や親友と食事をしているときにお酒を飲むと楽しい話もできるので、大人としてお酒が飲める日が来ると、おいしい酒が飲めると思います」。
ある芸能リポーターが「サラリーマンでも誰でも、酔っぱらって失敗することはある」と質問の前置きをしたように、酔ってハメを外して、逮捕までされてしまったことに対して、「大人」たちの同情論もある。だが、草なぎさんの受け答えからは、自身が大人であって、大人でないことをにじませているようにも聞こえた。あるいは、バラエティー番組のひとこまを見ているような、身構えない受け答えもあった。
「留置場に入れられていたので、することがなくて、寝ることしかできず、睡眠をとると回復してきて、大変なことをしたと実感しました」。また、約15台ものテレビカメラを前に「外で裸になったことは、今までありませんでした。メンバーの慎吾と飲んだとき、(家で)パンツ1枚になったことはありました」。酒を飲むと脱ぐ気分になるのかという珍問には、「脱ぐこともめったになく、初めてだったので」とはっきりしない答えを返した。また、「みんな(SMAPの他メンバー)、僕の体を気遣ってくれて…その後のことは、またみんなで考えればいいから大丈夫だよと、優しい声をかけてくれました」と、友情話も披露した。
草なぎさんは終始、うつむき加減で反省と謝罪の言葉を繰り返した。会見の終盤、SMAPのメンバーとしての活動再開への意思を問われ、「すぐにも戻りたいです」と述べた後、続けて「反省しないといけませんし、僕の気持ちだけでは決められません」と付け加えた。
会見終了後の午後9時半過ぎ、会場外の路上には、騒ぎに気づいた通りがかりのファンらが足を止めた。30代の女性は「少なくとも、年内は謹慎した方がいいのでは。早く戻ってきてほしいけれど、世の中には厳しい人もいるので、誰もが納得するちゃんとした形で再び顔を見せてほしい」と話した。別の30代の女性は「私はファンではない。でも、逮捕はかわいそう。裸になったのは反省した方がいいが、他人に大きな迷惑をかけたようでもない。ストレスがたまっていたのでしょうか」と気遣った。