2010年3月13日
「コマンドール章」のメダル(左)と手製の「金メダル」を手に、笑顔を見せる北野武さん=13日午後、成田空港、長島一浩撮影
フランス芸術文化勲章の最高章コマンドールを受けた映画監督でタレントの北野武さん(63)が13日帰国し、成田空港で受章会見を開いた。北野さんの第一声はもちろん厳粛なものであるはずもなく、「日本の文化勲章と人間国宝も一日も早くいただきたい。人間国宝になって無銭飲食で捕まるというのが私の夢なので、文科省の皆さま、よろしくお願いします」とやって、会見場は笑いに包まれた。
会見に同席したオフィス北野の森昌行社長は、今回の授章は映画監督の功績だけでなく、芸人ビートたけしとしての活動を含めた北野さんのすべての活動を表彰したものだといい、フランス文化省の授章理由の一部を紹介した。
「あなたは、ただ一つの才能を持った人ではない。あなたは人々を笑わせることが出来るし、感動させることが出来るし、怖がらせることも出来る。一つのジャンルでなくあらゆる面であなたの支持者が存在する。そして類を見ない自由さをもってものづくりを進める直観的な才能を持っている」
フランスでもタレントとしての活動が知られてきているという。北野さんは「映画にはカルト的なファンがいるんだけど、テレビも『風雲たけし城』がヨーロッパで人気が出て、どうもこれが同じ人物らしいと思われてきた」。
「バラエティーを流されるのは映画監督としてはヤバいんじゃないかと思ったけど、悪影響を及ぼすことはなかった。なぜこんなことが出来るんだと見られたようだ。逆に日本では、漫才師が映画を撮ったとみられる。フランスでは、映画は映画、バラエティーはバラエティーと分けてくれる。それはありがたいし、一方で駄目な部分は駄目と厳しく言われる」
森社長から「うれしいお知らせがある」と授章を告げられた時に北野さんは「事務所の脱税がバレたか、山本モナの浮気現場を押さえられたかと聞いた」。勲章を出すふりをして「バンクーバー」と殴り書きされた手製の金メダルを首に掛けてみせるなど、会見は終始爆笑モードだった。