現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 映画・音楽・芸能
  4. 芸能一般
  5. 記事

打たれて強く、鉄も華も 沢尻エリカ2年半ぶり活動再開

2010年4月30日

 世間のバッシングの矢面に立たされた女優は古今東西に少なくない。米国かぶれのサングラスに投げキッスで帰国した田中絹代。夫を捨てロッセリーニ監督の元に走ったイングリッド・バーグマン……。言うまでもなく、彼女たちは皆、実力で逆風をはねのけてきた。

 2007年秋、出演作の舞台あいさつで不機嫌な態度を取ったことで総攻撃を受けた。「本当に子供でした。誇りを持って自分の作品を皆さんに届けなきゃいけないのに。いっぱいいっぱいでプロ意識に欠けていた」

 それから2年半、芸能活動から遠ざかった。「この仕事に向いているのだろうか、と随分悩みました」。今回、CMを皮切りに活動を再開した。「カメラの前で表現することは、私の人生に必要なんだと思えたんです。久々にこの感覚を味わえてとてもうれしかった」

 2005年公開の井筒和幸監督「パッチギ!」の在日朝鮮人の高校生役で映画ファンを驚かせた。何と清らかな美少女なのだろう、と。確かな演技力とあいまって新人女優賞を総なめにした。翌年の森田芳光監督「間宮兄弟」では、森田流のコミカルな間(ま)を自分のものにするセンスも見せた。この年、5本の出演作が公開されるなど、着実にスターの座へと上っていた。

 ただ、「パッチギ!」の印象があまりに強いせいか、彼女が演じたのは、性格のいい美少女がほとんどだった。「これらの積み重ねで成長させてもらったのは間違いない。でも、もっと色々な役をやりたいと思ってもいた」と振り返る。「今、絶対やりたい映画があるんです。まだ決まってないから言えないけれど、これほど一つの役をやりたいと思ったのは初めて」

 活動再開後も、離婚報道などスキャンダラスな視線は収まっていない。偉大な先達が身をもって示したように、それは実績ではねのけるしかない。「写真の撮影や歌手としての仕事も大切ですが、私、やっぱり演技がしたい。演技をしていないと何か物足りないんです。自分の中でも、まだ復帰したとは言えません。演技で皆さんにお返し出来た時が本当の復帰だと思ってます。それまでは頑張ります」

 あと何十年かすれば、数々のバッシングも、大女優らしい伝説として畏敬(いけい)をもって語られているかもしれない。

(文・石飛徳樹)

    ◇

 さわじり・えりか 1986年生まれ。主な出演作に映画「オトシモノ」「手紙」「クローズド・ノート」、テレビドラマ「1リットルの涙」「タイヨウのうた」など。たかの友梨ビューティクリニックのCMで芸能活動を再開。

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内