女優吉永小百合(67)が2日、宮城県石巻市内で行われた主演映画「北のカナリアたち」(阪本順治監督)特別上映会で涙した。東日本大震災による大津波で流された同市で150年間続いた映画館「岡田劇場」のがれきから、自身のサイン入り写真集「SAYURI 吉永小百合アルバム」が発見され、そこに縁を感じた同劇場の菅原聖社長(43)から、市内での「北の−」特別上映会を提案。吉永も賛同し、約1100人のファンを自ら招待した。
吉永はこの日、上映会が始まる前に石巻の海岸線に向かった。がれきの山を見て、震災1年8カ月後でも残る深い傷痕に驚いた。岡田劇場跡地にも足を運んだ。北上川に浮かぶ中瀬にあった同劇場は、2階を超える高さの津波に流されたが、地下の倉庫にあった写真集が、約1週間後に見つかったことを聞かされ、声を詰まらせた。「がれきの中に残っていたのは映画の世界で仕事をしている者として、強い印象が残ったし、何としてもこちらにうかがいたいと思いました」。
会場でも感極まった。石巻少年少女合唱隊21人の子どもたちと劇中歌「あの青い空のように」を声を1つに歌ったが、泣きながら聴く被災者を目にし、大粒の涙をこぼした。
吉永 震災の後(合唱隊の)千葉先生がとっても…ご苦労なさって、お子さんを集められて、美しい歌声を聞かせていただいたと思うと…胸がいっぱいです。私も映画で指揮をしたり、子どもたちと一緒に歌ったものですから、先生の思いが伝わってきました。
4月には宮城県名取市や福島市で原爆詩の朗読会を、岩手県宮古市でCM撮影を行い、被災地の住民とも交流してきた。「こちらの方が頑張りなさいと言われている気がした。16歳からロケに来ていて、東北の人はいつも我慢を強いられて、だけど温かくて優しいと感じていました。これ以上、我慢させたくない」。クランクインから丸1年のこの日、復興支援への思いを新たにした。【村上幸将】
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