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歌舞伎に染まる東京 9月4劇場で多彩な作品

2008年8月29日

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 東京の4劇場が9月、歌舞伎でにぎわう。中村吉右衛門が先導する面々によるどっしりした時代物から、中村勘三郎が率いる小編成の一座による初心者でも見やすい作品まで、よりどりみどりだ。既に坪内逍遥が「芸術上のカイミーラ(三頭怪獣)」と称しただけあって、400余年間、芸能のエキスを飲み干してきた歌舞伎の懐は底知れない。

     ◇

 8月も歌舞伎座での上演のほか、市川右近、市川笑也らでつくる「二十一世紀歌舞伎組」が31日まで、ルテアトル銀座で「新・水滸伝」を上演している。

 その勢いが9月もとまらない。歌舞伎座は「秀山祭九月大歌舞伎」(9月2〜26日)で時代物の「ひらかな盛衰記・逆櫓(さかろ)」「近江源氏先陣館・盛綱陣屋」などを上演する。古典歌舞伎の精髄が期待できそうだ。

 新橋演舞場では「新秋九月大歌舞伎」(9月1〜25日)。中村時蔵が「加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)」で大役・尾上。遊廓(ゆうかく)のにおいが濃い「枕獅子」も踊る。時蔵は、故・六代目中村歌右衛門らが当たり芸とした女形の大役に意識的に取り組み、実力が向上している。

 役の幅を果敢に広げている市川海老蔵も出演。「源平布引滝」の斎藤実盛を演じ、木曽義賢には初役で挑む。市川亀治郎も海老蔵と「色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)(かさね)」を踊る。両人の「かさね」は07年、英ローレンス・オリビエ賞の候補作にもなった。時蔵は言う。「特徴は『通し狂言』と『舞踊』。4演目とも話が完結します」。若やいだ古典歌舞伎が繰り広げられる。

 一方、赤坂ACTシアターには「赤坂大歌舞伎」(9月3〜20日)がおめみえする。演目は「江戸みやげ 狐狸狐狸(こりこり)ばなし」と「棒しばり」。中村勘太郎・七之助兄弟、坂東弥十郎、市川段治郎らが出演する。あくまで趣旨は「歌舞伎を見たことがない人のため」(勘三郎)という。気心知れた同士の一座だけに、求心力に富むエンターテインメントになるに違いない。

 三越劇場では「三越歌舞伎」(9月2〜19日)。中村橋之助、片岡孝太郎が軸となって「ぢいさんばあさん」と舞踊二題「手習子」「俄獅子」を見せる。「ぢいさん〜」は故あって離別した夫婦が幾星霜かを経て再会、老境のしみじみした味わいを中心に描く。渋い番組立てだ。

 こうした一種の量産は、歌舞伎の集客力の高さの証左だ。若手・中堅が芸を磨く好機にもなっている。「でも、盛況にあぐらをかいていたら将来、危ないと思うから、歌舞伎を見たこともない人に見て頂く工夫をしないといけない」。客あっての歌舞伎。こう言う勘三郎の姿勢は、決して忘れてはならないだろう。

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