市川猿之助一門が東京・新橋演舞場で鶴屋南北作「獨道中五十三驛」(猿之助演出、奈河彰輔脚本・演出、石川耕士補綴(ほてい))を上演する。市川右近が15役を演じ、12役の早替(が)わりを見せる。
「東海道中膝栗毛」のバリエーション。道中物に家宝を巡る騒動が絡む。化け猫、本水を使う大滝の立ち回りなどけれんたっぷり。早替わりは雷、とび頭、芸者、船頭、弁天小僧など一見メチャクチャだが、ここに同作の肝がある。
「筋はあまり関係ないです。娯楽性が濃縮されたエンターテインメントです」と右近。猿之助は81年に初演、猿之助十八番に連なる人気作に。右近が本格的に取り組むのは92年以来3回目。「15役には元の本編があって、それを意識することで違いが出ると思う。その上で自分の色がどの役にも出ていないと」
喜多八女房おきち役は市川春猿。最近、坂東玉三郎直伝の泉鏡花の女などで幅を広げている。「そり眉、お歯黒の女房姿って妙に色っぽく、美意識ですよね。ただ今回はむしろ、ほっこりコミカルに、おばちゃんパワー爆発という感じでいきたい」と話す。
右近、春猿とも「師の快作を継承したい」との気持ちは共通している。
3月4日〜23日。ほかに段治郎、笑也、笑三郎、猿弥ら。1万5千〜3千円。