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菊之助、未知の立役に挑む 南北・黙阿弥の世話物に出演

2009年10月9日

 鶴屋南北、河竹黙阿弥という歌舞伎世話物の巨星の作品に、尾上菊之助が向き合う。11月1日から東京・新橋演舞場で始まる「花形歌舞伎」で南北作「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」の三五郎役と黙阿弥作「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」のお嬢吉三役を演じる。

    ◇

 江戸期の歌舞伎を大ぐくりに見ると、近松門左衛門が悠久のドラマを描き、南北がドラマの片々を組み合わせて濃密な迷宮をつくり、黙阿弥がドラマの残り香を閉じこめる様式美を整序した。

 この巨星たちの描いた作品のなかで、菊之助はこれまで弁天小僧役などを演じ、黙阿弥作品には親近感がある。

 「黙阿弥のせりふ回しには慣れているが、南北は未知の部分が多い。それに三五郎は立役(たちやく)で、しかも初役。女形中心に勉強してきたが、世話物立役はほとんど演じていないので、挑戦です」

 「三五大切」は「忠臣蔵」「東海道四谷怪談」の後日譚で、忠義や情理の歯車の動きが破綻(はたん)する陰惨な物語だ。三五郎は忠義のためとはいえ、悪に手を染め、ついには自刃する。「三五郎には、江戸前のきりっとした男よりも、ドロドロしたものを感じる。むしろ生々しいような雰囲気」

 「三人吉三」は滅び行くアウトローたちの物語。お嬢吉三は女装した美しき悪党だ。

 「三人吉三はヒーローです。悪いといっても格好いい。セリフにも悪の色気がある。男女の変化をしっかり見せつつ、五つの時にかどわかされた複雑な気持ちなど、お嬢の背負ってきたものを、におわせることができたら」

 「黙阿弥は隅田川の清流、南北は谷底の仄(ほの)暗い水。お嬢も三五郎も、見た後の感じが、かなり違うと思う」

 25日まで。ほかに「鬼揃紅葉狩(おにぞろいもみじがり)」など。市川染五郎、尾上松緑、市川亀治郎、片岡愛之助、中村歌六ら。3千円〜1万6千円。電話03・5565・6000(松竹)。(米原範彦)

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