現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 舞台
  4. 歌舞伎
  5. 記事

猿之助の芸に迫る初春 海老蔵・右近、当たり役に挑む 新橋演舞場

2009年12月26日

 市川猿之助の当たり役を若手・中堅の歌舞伎俳優が競演する「初春花形歌舞伎」が来年1月2日、東京・新橋演舞場で始まる。猿之助の芸を慕う市川海老蔵、総領弟子の市川右近が、清新な舞台を繰り広げる。

 結婚を控えて何かと注目される海老蔵。歌舞伎にふだん来ない客を意識し、「時の運を借りて、新しい方々に見ていただきたい」と話す。

 今回演じるのは早替わり満載の猿之助十八番「伊達の十役」だ。七代目市川団十郎が初演したが、長らく途絶え、猿之助が復活。時代物や世話物でよく知られた役柄が幅広く登場し、演じ分けが難しい。

 「一つだけでも骨が折れる。でも1役にすべてを注ぎ込んで、他の9役がダメになってもまずい。きちんとならって、ゼロから一つひとつできるように頑張りたい」

 海老蔵はこれまでも「狐(きつね)忠信(ただのぶ)」など猿之助が得意とする役に果敢に挑戦してきた。「猿之助さんから情熱を勉強したい」と話す。

 右近は、猿翁十種の一つで猿之助が育てたともいえる舞踊劇「黒塚」に取り組む。

 「黒塚」は1963年の猿之助襲名時、祖父の初代猿翁が演じるはずだったが、体調を崩したため、猿之助が代演したという。「師匠自身、おじいさんから受け継いだ特別大事な作品という思いがあると思う」

 能、新舞踊、歌舞伎の3場面で構成される。

 「約70年前の作品で歌舞伎史の中では新しいとはいえ、古典味や熟成味がある。鬼女の美しい心と恐ろしい心といった、誰もが持つ二面性に光を当てている。ギリシャ悲劇、神話的な世界すら感じる。根底にあるのが自然で、美しいススキの原、月の明かりがある」

 右近は猿之助から、直接は習っていない。しかし、舞台袖で師匠の踊りを凝視してきたという。

 「一緒に心の中で踊っていた。途中、不思議な動きもあるが、自分の中では無理なくまねして踊ってきたので、違和感はない」

 1月26日まで。演目はほかに「寿(ことぶき)曽我(そがの)対面(たいめん)」「春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」。中村獅童、市川笑也らも出演。3千円〜1万6千円。電話03・5565・6000(松竹)。(米原範彦)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内