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祭りの人出、どうやって数えるの?

2008年8月26日

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写真「青森ねぶた祭」。雨の中、ビニールで覆われたねぶたが街を練り歩いた=2日、青森市、戸村登撮影写真太鼓の音に合わせて踊り手が練り歩いたさんさ踊り。沿道は大勢の見物客であふれた=1日、盛岡市内丸

 ねぶたに竿燈(かんとう)に七夕――。今年も東北各地の祭りが、夏を鮮やかに彩り、多くの人でにぎわった。主催者は今夏の祭りの人出を発表したが、実はその数え方はまちまち。何百万人にもなる観光客は、一体どのように数えるのだろう。

 東北3大祭りの一つ、秋田の竿燈まつり。今年の人出は4日間で134万人と発表された。

 実行委員会の秋田市商業観光課によると、その算定方法は「飽和状態」が基準だ。会場の約1キロの道路や周辺の通りなどに、最大で11万人入ると推定。さらに、開催時間の午後7〜9時に人が3回入れ替わるとみなし、3をかけた33万人を1日の「飽和状態」と考える。これに、例年と今年の人込みの違いを目視で比べて加減するなどして、人出をはじき出すという。

 6日間で319万人の観光客を集めた青森ねぶた祭は、「積み上げ式」だ。ホテルや旅館の利用客、高速道路や駅の利用状況、駐車場の利用客を足し、当日の会場の込み具合を勘案して算定する。

 専属のアルバイトを雇うのは仙台七夕祭り。学生バイトを2人雇い、メーン会場の一番町通りで、毎日午前9時から午後10時までみっちりカウンターで計測。その数を基礎に、他の通りでも同じだけの人出があったと推定し、全体の人出を割り出す方法だ。

 まつり協賛会事務局の仙台商工会議所の赤間俊孝さんは「半世紀近く続けてきたやり方。目視じゃないので、客観的なはず」と胸を張る。

 3日間で91万人だった山形花笠まつりは「通りの込み具合を見て、目視が中心」(県花笠協議会事務局)。

 2日間で27万人の福島わらじまつりも、「実行委員らによる目視が中心」(福島商工会議所)という。

 細かい計算式を定めているのは盛岡のさんさ踊り。▽250平方メートルのサンプルエリアを選び、実行委員がカウンターで人数を数える▽主会場が1万平方メートルなので、1万を250で割った40をかける▽開催時間の3時間で、4回人が入れ替わったとみなして4をかける▽さらに、隣り合う通りに主会場の4割の人が訪れたと見積もって、これも加える。「10年近く前までは目視が中心だったが、客観的なのかという指摘があり、今の方法に改めた」と実行委。

 ■警察発表と大差の例も

 岩手県警は雑踏警備の目的から独自に人出を算定している。今夏のさんさ踊りの人出を4日間で16万人と推計。主催者発表は116万人で、その差はなんと100万人だ。

 同県警地域課は「われわれは安全確保が目的で数えているので、数え方も主催者と違う」という。各ポイントに配置した警察官が、一定面積あたりの人数を数えて密度を報告するほか、会場の「飽和状態」も考慮する。主催者の計算式にある「回転数」の4倍をかけることはしない。

 「祭りのムードに水を差しかねないので、あまり公表したい数字ではない」というが、数えるのをやめるわけにもいかない。「万が一将棋倒しのような事故があったときに、これだけ人が来ているのに警備態勢がこれでよかったのか、という問題になりかねない」ためだ。

 東北6県で独自に人数を把握している県警は岩手だけ。ほかは主催者発表を基準にしている。

 「祭りの規模がでかすぎて把握しきれない」と青森署。仙台中央署は「主催者に『その数字は多すぎる』と申し入れたこともある。かといって、警察で数えても、本当にそれが正確か、わからない。『数字の根拠は何だ』と言われても困る」と、やはり把握しきれないのが実情のようだ。

 警察庁は05年、各県警に、主なイベントの人出について主催者発表の数字を報告するよう求めた。それまでは県警が独自に把握した数を報告するところもあったという。

 警察庁は主催者発表に統一した理由を「警察は警備が目的で、数えるのが目的ではないわけで、主催者発表の方がより正確だから」と謙遜(けんそん)するが、「それぞれの数にもずれがあった」ともいう。

 ■比較に困るが…

 ただ、主催者の数え方がバラバラでは、観光客数の比較自体が成り立たないことになる。日本観光協会(本部・東京都中央区)は96年、人出を数えるガイドラインを作った。「一定面積の最盛時の利用者×回転数×全体の面積÷一定面積」といったように、細かい算定方法を定めた。

 ところが、「どれだけ使われているかわからない」(同協会)のが悩みだ。主催者にガイドラインの強制はできず、お願いするしかない。「実態をつかめないと、観光施策にも影響が出るはずなのですが……」と嘆く。

 ■「野鳥の会」に頼む?

 本当に人気なのは、一体どの祭りなのだろうか。

 JTB広報室によると、「やはり商品を作るうえで外せないのは青森のねぶた祭。ここを基点としたツアーを組んでいます」。「首都圏発の主力商品は2泊3日のもので、青森ねぶたに竿燈まつりを加え、山形の花笠か仙台七夕へとつなげるパターンが多い」のだという。ちなみに、商品の企画に当たっては主催者発表の人出は「ほとんど参考にしない」そうだ。

 秋田県警は「本当の数字なんてわかるのか。野鳥の会でも呼んで数えるしかないのでは」と話す。(盛岡総局 疋田多揚)

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