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伝統の技と心を再生 国立劇場「花柳舞踊研究会」名作集

2008年9月19日

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 二代目花柳壽輔が舞踊界に残した足跡は計り知れない。日本舞踊公演「二世花柳壽輔による『花柳舞踊研究会』名作集―昭和の創作舞踊―」(13日、東京・三宅坂の国立劇場)は、彼が追求した形姿を浮き彫りにした。それは、伝統のおどりの技と心を、世界の喝采に堪えうる舞踊芸術として再生させる姿ではなかったか。

 当流当代の看板舞踊家が集い、素踊り、衣装・メーク付きで計11曲を披露した。

 寿南海の踊りが、今そこにある人生、風景とでも言うべきものを表現した。常磐津「遍路」。目線は強弱混然と配され、風格は周囲にとけ込むようでいて、旅愁の風を吹かせる。踊りは、人生や風景の一断面であり、凝縮度が高いほど、時代や国を超えた感情を宿すのだろう。

 輔太朗の常磐津「権太」も見せた。一種、肥大化したアメーバのようにくねる。所作の端々にまで蛇状の影が寄り添う。身体能力が高い。眞理子の清元「萬年喜猫」は女体の柔らかさを泳がせながら、じゃれている女を、猫を、淡いコケットリーで彩色。これも良質だった。

 基らによる常磐津「空の初旅」は傘職人が傘で空を飛び、天女などに遭遇、ついに江戸吉原に着陸という、たわいもない筋だが、案外、宮崎アニメに通じる面白さ。基の品のある立ち姿、動きの切れが利いている。錦之輔の長唄「綾の鼓」は恋に破れた男の悲哀をにじませる。行儀がよいため、筋が分かりやすい。

 昨今、創作日舞には何かと新機軸を狙う癖が目立つ。昭和もそうだったが、題材も含め伝統を省察する二代目の姿勢は、駄作に陥るのをくいとめた。ただ、現壽輔らの長唄「勝三郎船弁慶」のように芝居がかると、観客は、歌舞伎の優勢に思いを致さざるを得ないだろう。(米原範彦)

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