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落語家・柳家喬太郎、謙虚に初芝居 舞台「斎藤幸子」

2009年7月24日

写真拡大「相手のセリフも覚えると自分のセリフが入ってくる。落語家の習性なんだな、と発見した」

 若手落語家では指折りの人気がある柳家喬太郎が、東京・ルテアトル銀座で上演する「斎藤幸子」で初の舞台出演を果たす。堂々とした高座と打って変わって、稽古(けいこ)場では「ここにいていいのかな、という気がしてきました」。至って謙虚な、そのわけは。

 実は、高校時代につかこうへいを見て以来の演劇ファンでもある。時間ができれば、気軽に行ける小劇場に足を運ぶ。「斎藤幸子」を初演したラッパ屋と公演に通ううちに縁ができ、1月には公演の舞台セットで落語会を開いた。

 一人の演劇好きに徹して、「演じる側に行きたくない」という複雑な心理もあった。では、なぜ舞台に? 「断り切れなかったんです。自信ないですけど、でも、うれしいんです」。本業ではない芝居をすることへの含羞(がんしゅう)と、演劇への敬意が同居する。

 東京・月島を舞台に、様々な男と恋愛に陥る幸子(斉藤由貴)と家族、近所の人々が悲喜劇を展開する。そこへ現れる幸子のパートナー、山崎が喬太郎の役。「違う空気を持ってくる異邦人なんです。落語家として参加していることに共通点があります」

 客席では、50代の俳優が踊り、仕込みに時間が掛かる芸を披露する姿を見た。稽古では、演出の河原雅彦が「グルーブ感で行きましょう」と指示していた。師匠や先輩に「こうしないといけない」と教わる落語は、固定観念に捕らわれていないか。ハッとして、自省の念にかられる。

 今春に初の著書を出版し、今回は舞台出演。活動の幅を広げているようでいて、地道な原点回帰も図っている。

 現代の風潮を巧みに描写した新作のイメージが強いものの、3年ほど前から古典に力を入れている。若手と呼ばれるが、すでに40代半ば。「奇をてらわず、普通に受ける底力をつけたい」

■「経験、古典に新作に役立てる」

 今年に入って「たいこ腹」「転失気」など5席をネタおろしした。新作の意欲もあるが、「いまは引き出しが空っぽという感じがする」。だから、今回の出演は「舞台に進出だ、ではないです。演劇の経験は古典に新作に役立てますよ」。やっぱり、根っからの落語家だ。

 上演は8月14〜30日。作は鈴木聡。他の出演は粟根まこと、きたろう、千葉雅子ら。7千円、平日夜6千円。03・3477・5858(パルコ劇場)。16日には舞台セットを高座にした喬太郎の独演会がある。(井上秀樹)

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