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喬太郎が「源氏物語」で新作 CD発売

2009年12月26日

写真拡大柳家喬太郎さん

 古典・新作の両分野で人気の落語家、柳家喬太郎が、コロムビアから新作落語のCD「ウツセミ」を出した。下敷きにしたのは「源氏物語」の「空蝉」だ。

 昨年10月、源氏物語千年紀を記念した連続イベントで「空蝉」を担当。物語の舞台を現代に置き換え、ハンサムな学生「源光氏(みなもと・こうじ)」が主人公の落語をつくった。

 落語には講談など他の芸能から題材をとった演目も多いが、古典文学の翻案はめったにない。「すみれ荘201号室」「純情日記」シリーズなど人気の新作を多数つくってきた喬太郎も、源氏物語には違和感を覚えたという。

 落語の世界に貴族は出てこないし、主人公も女性にもてないのが基本。恋が成就する話でも、男の方が純情に描かれることが多い。

 「ところが源氏物語はその正反対。いい男がもてる話なんで、どうしても共感が抱けない。こんなもてもてのやつを描いて何が面白いんだ、なんでおれにやらせるんだ、という気分だった」

 演じた後も「これ一回きりだな」と考えていた。だが、録音を聴き直して、もう一度やったらどうなるだろうと興味がわいてきたという。

 そこで今年9月に再演したのが今回のCD。もて続けてきた光源氏が空蝉に去られて初めて味わう喪失感を、現代にも通じるテーマとして書いた。

 「落語家は、この噺(はなし)にほれている、これを伝えたい、という噺をやることが大事だと思うけど、演じ手としての興味も大事かなと。光源氏の人間像には共感できないけど、源氏物語自体は千年の生命力がある素晴らしい作品。挑戦した結果、新しい発見がたくさんあって、自分の持ちネタにと思うようになった」

 今月出版された「今おもしろい落語家ベスト50」(文春ムック)では、立川志の輔、柳家小三治らを抑えて1位に選ばれ、落語ファンの話題を呼んでいる。週刊誌の川柳選者や衛星放送のレギュラーもつとめ、エッセー集も出すなど多忙を極める。師匠さん喬から「少し休みな」と言われている。

 「引き出しが空っぽの気がします。少し休んで古典のネタも増やしたい」(篠崎弘)

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