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2012年4月7日10時36分
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春風亭一之輔 真打昇進披露興行 独自の色づけ、大物の風格

写真:春風亭一之輔=遠崎智宏撮影拡大春風亭一之輔=遠崎智宏撮影

 21人抜き昇進で話題の新真打ち、春風亭一之輔の披露興行が都内の定席で続いている。上野鈴本での10日間は連日超満員。やや客席も落ち着いてきた新宿末広亭をのぞいた(2日)。

 3月の落語協会の会見で柳家小三治会長は「うれしかったですよ、この人を発見して」「見に行ってびっくりした。おいおい、こういうやつをほっとくのかと」「久しぶりに見た本物だ」と絶賛した。特にほめたのが「客席をのんでかかっている」点。確かに新真打ちとは思えぬ安定感で、高座ではすでに大物の風格すら漂わせている。

 興行ではほぼ毎日ネタを変えている。すべて古典だが必ず独自の色づけがあって、それが客にはたまらない。この日は一連の興行では2度目の「あくび指南」。粋な年増に指南を受けようと、八五郎が気取って自己紹介をする場面が秀逸。

 「大工です」「家(うち)……、建ててます」

 かといって、無理に笑いを取ろうという気配はない。小三治も「この人の芸には卑屈なところがない」と感心していた。

 口上で春風亭小朝は一之輔には桂枝雀に通じる狂気があると評して「今はまだ若手だが、10年後、好きにできるようになった頃が勝負でしょう」と期待を寄せた。こうした落語家の成長を見守れるのは、現代の落語ファンの幸福というものだろう。

 他に春風亭正朝「風呂敷」、柳亭市馬「一目上がり」、小朝「紀州」、三遊亭円歌「中沢家の人々」、林家木久扇「彦六伝」。鈴本では得意の笛も披露した一之輔の師匠一朝は「七段目」。トリ目当ての客を十分に楽しませた。披露興行は今後4月中席が浅草演芸ホール、同下席が池袋演芸場、5月中席が国立演芸場。(篠崎弘)

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