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ヅカ★ナビ!

タカラジェンヌの新たな魅力発見! 赤坂BLITZ『AQUA5コンサート』

2009年6月12日

  • 中本千晶

写真拡大赤坂BLITZ『AQUA5コンサート』より=撮影・岩村美佳

写真拡大赤坂BLITZ『AQUA5コンサート』より=撮影・岩村美佳

写真拡大赤坂BLITZ『AQUA5コンサート』より=撮影・岩村美佳

写真拡大赤坂BLITZ『AQUA5コンサート』より=撮影・岩村美佳

写真拡大赤坂BLITZ『AQUA5コンサート』より=撮影・岩村美佳

 その日、私は本当に疲れていた。
 「2時間も立ちっぱなしで大丈夫か?」と、本気で心配だった。
 だが、舞台がパッと明るくなり、エネルギッシュに、スタイリッシュに歌い踊る「生」AQUA5の姿が目に飛び込んできたとき、疲れも心配も一気に吹き飛んでしまった…。

 「AQUA5」は、宝塚歌劇団雪組の男役によるユニットだ。メンバーは、主演男役の水夏希を筆頭に、彩吹真央、音月桂、彩那音、凰稀かなめの5人である。

 その活動内容はいつものタカラヅカとは一味違う。普通の音楽ユニットと同様、オリジナルの持ち歌があり、CDも出している。ハウス食品「六甲のおいしい水」のCMにも登場したこともある。

 いわば、「男役」としてではなく、「素顔で勝負」なのだ。
 最近ではテレビ番組に登場する機会も増え、お笑いタレントも顔負けの才気煥発ぶりを発揮している。タカラヅカの舞台は観たことがないけれど、この5人ならテレビで見たことがあるという人も多いのではないだろうか。
 
 そして、6月9日、10日。ついに、赤坂BLITZにてコンサートまで開催してしまったのである。
 この「AQUA5コンサート」、客席の側もいつもと違っていた。違うといっても「タカラヅカの客席とは違う」という話である。
 多くのファンが「AQUA5」Tシャツに身を包み、コンサートの必需品である「うちわ」やペンライトを持参。なかには、ご贔屓スターの名をペイントし、キラキラと飾りつけをした、オリジナルうちわを手作りしてくるファンもいる。
「正直、タカラヅカのお客さまが乗ってくださるか心配」だったそうだが、その心配は見事に杞憂に終わったようだった。

 なかでも一番の違いは「かけ声」だ。意外に思われるかもしれないが、タカラヅカの客席では、「かけ声禁止」である。普段はいたっておとなしい客席だ。
 それがこの日は、「○○さぁ〜ん!」「大好きっ♪」と思い思いのかけ声が飛んで来る。応える5人もじつに楽しそうで、まさに客席といっしょになって創り上げる、一体感溢れる舞台となったのだった。

 ただ、メンバー最下級生で、このたび星組に組替えとなる凰稀かなめが、急遽、怪我で休演となってしまったのは残念。凰稀はビデオレターでの登場となった。

 コンサートでは、「AQUA FEEL AQUA SOUL」「TIME TO LOVE」「シラユキ」など、CDでもおなじみの曲が歌い継がれた。
 また、歌の合間に繰り広げられるトークタイムでは、4人それぞれが持ち味を存分に発揮して、客席を沸かせた。
 いつも頼もしくメンバーを引っ張る水夏希と、可愛い弟キャラが好対照の彩吹真央。いつも弾けるような笑顔で元気いっぱいの音月桂、ちょっぴりアンニュイな雰囲気をたたえる彩那音、そして本来なら端正な末っ子の凰稀かなめ。
 誰一人欠けても物足りないような感覚、そんな5人のAQUA5が好き!というファンも多いだろう。それがユニットとしての成熟を物語っている。

 10日16時の最終回では、度重なるアンコールの後、いよいよ客席の明かりがつき、お客さん退出用に「なごり雪」のメロディーが流れ始めたとき、誰からともなく、それに合わせた「なごり雪」の大合唱が沸き起り、急遽、再び4人が舞台に舞い戻ってきてくれるというハプニングも。
 メンバーも涙、涙で、とくに彩吹真央は顔がくしゃくしゃになるほどの大号泣。また、そのなかで唯一涙を押し隠し、キリッとその場をまとめたのが水夏希らしかった。

 AQUA5結成のきっかけは2007年夏に大阪で行われた世界陸上へのゲスト出演だった。リーダーの水夏希いわく「たまたま」私たちだったのだという。
 でも、その「たまたま」が大きく花開き、今やタカラヅカのプロモーションの先鋒を担う存在になった。
 彩吹真央は「男役とはまた違う自分を表現できることが、ほんとうに楽しい」と語った。その言葉のとおり、これまでのタカラヅカ男役のイメージとは一味違う魅力を、広く発信するきっかけをつくったという点で、AQUA5の存在は画期的だったのではないだろうか。

 さて、「これまでの活動の集大成」と銘打たれた今回のコンサート。気になるのはAQUA5の今後である。
 だが、トークタイムでは皆「今後も続けて行きたい!」と繰り返し主張、ファンも大喝采で応えていた。もちろん私も、今後も何らかの形で活動が継続されることを強く希望したいと思う。

 AQUA5によって切り開かれたタカラヅカの新たな可能性、これからもっと広がっていくことを願いつつ…。

レベル:
★☆☆(初級編) 
分野:
オンナ磨き
対象:
歌って踊って、トークもできるカッコいい女性を目指したいあなたにおすすめ。

ステップアップのための宿題:
AQUA5はこれまで「TIME TO LOVE」「AQUA FEEL AQUA SOUL」「シラユキ」の3枚のシングルCD、そして今年3月にはファーストアルバム「AQUA5」も発売しています。テレビで見かけて気になった人はチェック!

プロフィール

中本千晶
フリージャーナリスト。67年山口県生まれ。東京大学法学部卒業。株式会社リクルートで海外ツアー販売サイトの立ち上げおよび運営に携わる。00年に独立。小学校4年生のときに宝塚歌劇を初観劇し「宝塚に入りたい」と思うも、1日で挫折。社会人になって仕事に行き詰まっていたとき、宝塚と再会し、ファンサイトの運営などを熱心に行なう。宝塚の行く末をあたたかく見守り、男性を積極的に観劇に誘う「ヅカナビゲーター」。
  • 中本千晶さんの著書一覧

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