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ステージレビュー

誰かに繋がる愛おしい日々、地球ゴージャス「Xday」

2010年7月28日

  • 文・写真:岩村美佳

写真拡大地球ゴージャスプロデュース公演Vol.11「Xday」より=撮影・岩村美佳

写真拡大地球ゴージャスプロデュース公演Vol.11「Xday」より=撮影・岩村美佳

写真拡大地球ゴージャスプロデュース公演Vol.11「Xday」より=撮影・岩村美佳

 地球ゴージャスプロデュース公演Vol.11「Xday」が7月16日に銀河劇場で開幕した。東京を皮切りに、札幌、仙台、福岡、名古屋、新潟、大阪と全国を巡る。地球ゴージャスは岸谷五朗、寺脇康文の2人により結成された演劇ユニット。これまで、多くの俳優達とコラボレーションをして歌やダンスを取り入れたエンターテイメントを作り出し、10作品で延べ55万人を動員してきた。今までは大人数の出演者でボリュームのある作品を作ることが多かったが、今回は出演者が6人だけ。個性豊かなプロフェッショナルが顔を揃え、少人数でもその厚みはひけをとらない。タイトルが「Xday」だけに、開幕するまで ストーリーも役も全てがシークレットであった。期待が高まるなか、ついに全てが解禁された。

 岸谷は「今までに比べかなりの実験公演で、新たなエンターテイメントが出来上がりました。エンターテイメントやミュージカルの基準が何かわからないですが、かなり躍動的に音楽と密接に作品が進んでいきます。特に歌は鳥肌ものです。お客様に来て頂けるのが楽しみです」と話した。寺脇は「今までは大人数のエンターテイメントを作り出して来ましたが、今回は6名のみでゴージャスの色を出しつつも全く見たことのない芝居を作り上げました。『こんなのもあり! 面白かった!』と思ってもらえるのではないかと。6名なのに大人数と同じエネルギーに出来上がりました」と話した。また、念願の地方公演で、地球ゴージャス初上陸の場所もあるという。

 そして2人が迎える4人の出演者は、『モーツァルト!』『TOMMY』などのミュージカルに主演、抜群の歌唱力で観客を魅了してきた中川晃教。元宝塚歌劇団宙組娘役トップスターで、スタイリッシュなダンスと演技で人気を誇り、退団後の舞台「ULTRA PURE!」ではヒロインを演じた陽月華。数多くのミュージカルに出演、地球ゴージャスは2度目となる藤林美沙。そのキャラクターと歌唱力で存在感を魅せる森公美子。中川は「今までストイックに心の繊細な部分を表現するような役を頂いてきたのですが、今回は繊細な部分も求められつつも今までにやったことがない役を、岸谷さんに当て書きして頂きました。新しい自分を発見してやるぞと意欲が湧いています。6人のチームワークが最高です」という。陽月は「私も自分がやったことがない役をたくさんさせて頂いています。ひとつひとつの役を、場面場面を、違う色でお客様に楽しんで頂けたらいいなと思います。日々成長していきたいです」という。

 藤林は「個性的なシーンがたくさんあります。生の舞台のよさや、ライブの面白さを伝えられると思いますので、エンターテイメントを存分に楽しんで頂けたらと思います」という。森は「森公美子はじまって以来の役、全く笑わせない役が来ました。岸谷さんに『森公美子を忘れてください』という課題を頂き、お地蔵さんのようになってます(笑)。この年になって、自分にないものに挑戦するといういいチャンスに恵まれました。違う自分を見つけてくれて感謝しています。踊らされますし(笑)。動けることをわかって頂いて嬉しいです」という。

 それぞれに深い悩みや秘密を抱える5人、主婦の夏子(陽月)、高校教師の本宮(寺脇)、精神科医の登志子(森)、カリスマ美容師の聖児(中川)、中国人の趙さん(藤林)。ひとりずつが主人公となる5つのストーリーが続いていく。そして、その5人がマスター(岸谷)の店に偶然のように集まった。果たしてそれは偶然だったのか。そう、Xday…。

 見事な仕上がりだ。ゴージャスらしい笑いや、キャストの得意分野を見せつつ、テンポよくあきない構成。岸谷の手腕が発揮されている。1話ごとに主人公となるキャストの個性、得意分野が生かされていて、ゆえに全て色合いが異なる話となっている。その違いが観客に飽きさせる暇を与えず、テンポ良く進んでいく。今回面白いのは、キャストが裏方もやるということ。寺脇は「普段は見せない裏の顔を舞台上で見せたりもします。パフォーマーとして『役』にも、『裏方』にも、『楽器演奏者』にもなります。舞台の面白いところを裏側まで見せちゃおうと」という。楽器の演奏や、セットの移動など、舞台上でキャストとしてではなく、黒子としても忙しく動く。それゆえ全員がほぼ出ずっぱりなのだ。そして映像がシュールでなんとも楽しい。舞台をフレーミングしたようなシンプルなセットが、色んな形で芝居にMIXされる。サイドから、床から、机の上に…とふいに現れる白いスクリーンには、その場所を示す映像だったり、芝居の間の息抜きだったりと、色んな要素が詰め込まれている。

 オープニングは黒い衣装で6人全員でのダンス&ソング。ノリのいいアップテンポなナンバーで一気に観客を引き込んでいく。陽月と藤林のダンス、中川と森のソング、そのクオリティに感嘆する。それぞれの魅力を一瞬のうちに見せて行く。6人の個性がひとつになり、圧倒的なパワーを放っている。

 ACT.1 夏子の場合。夏子と幼なじみの山根(中川)がカーリング観戦をしている。夏子がカーリングを好きな理由には、彼女が抱える過去の秘密が関係している。それを知る山根は「自分を開放してあげて」と抱きしめる。ストンプ(身の回りの物を使ったリズムパフォーマンス)的な要素を取り入れたパフォーマンスも見どころで、一緒に床を踏み鳴らしたくなるような楽しさがある。

 ACT.2 本宮の場合。熱血高校教師・本宮のクラスでは、上京を決めたRB(藤林)を心配して生徒達が大騒ぎ。そんな中、悲しい知らせがもたらされた。立ちすくむ本宮と生徒達。地球ゴージャスお得意のコメディ要素が盛り沢山に詰め込まれ、笑いっぱなしの場面だ。それだけにラストシーンが重く残る。また、岸谷、中川、森の高校生ぶりが最高に面白く、見どころだ。

 ACT.3 登志子の場合。カウンセリングルームには様々な患者がやってくる。そのなかでも深刻な患者、一見優秀なサラリーマンの松本(岸谷)は妻の裏切りを告白。逆上して登志子の首を絞める。あらがわず全てを包み込む登志子。時間がくると何事もなかったかのように松本は去って行く。救われることのない松本に思いを馳せる登志子。闇のなかを彷徨い続け、どこか違う場所にいざなわれてしまいそうな森の歌声に、吸い込まれていくような感覚になる。

 ACT.4 聖児の場合。江戸っ子口調の聖児の店には、東北訛りが抜けないアシスタント、トキちゃん(陽月)をはじめ変わった店員ばかり。カリスマぶりを見せるポップなナンバーは、中川の魅力が存分に発揮されている。歌声に、パフォーマンスにと軽快な仕上がりが魅力の場面。陽月の愛くるしいキャラクターも大事なスパイスだ。そして、そんな聖児にも秘密があった…。

 ACT.5 趙さんの場合。電話ボックスに入った女性は片言の日本語で、ひたすら怒っている。「返して!私の子供たち!」と。森、中川のピアノ連弾、寺脇のパーカッション、それにあわせて踊る藤林のダンスと、パフォーマンスで魅せる場面だ。そこに現れた謎の男(岸谷)に誘われ、一緒に踊りだす趙さん。そして次々とこれまでの主人公たちがひとつの店に消えていった。 

 ACT.6 Xday。5人がどんな秘密を抱えているのか、どんな Xdayなのか。そして、Xdayとはどんな日なのか。パズルがはまるように、次々と明かされていく…。

 見終わって、誰しもあるであろうXdayに思いを馳せるのではないだろうか。人が生きていく中で不思議なことはたくさんある。「事実は小説より奇なり」イギリスの詩人バイロンの有名な言葉だが、日々の出来事は平凡に見えてそれだけではない。長く続く人生の中で、どこかに、誰かに確実に繋がっていく。そんなふうに続いていく毎日が愛おしくなるような、そんな気持ちにさせてくれる作品だ。

◆地球ゴージャスプロデュース公演Vol.11 「Xday」

《東京公演》2010年7月16日(金)〜8月8日(日)、天王洲 銀河劇場
《札幌公演》2010年8月13日(金)〜8月15日(日)、道新ホール
《仙台公演》2010年8月21日(土)〜8月22日(日)、イズミティ21 大ホール
《福岡公演》2010年8月28日(土)〜8月29日(日)、福岡市民会館 大ホール
《名古屋公演》2010年9月3日(金)〜9月5日(日)、中京大学文化市民会館プルニエホール
《新潟公演》2010年9月8日(水)〜9月9日(木)、新潟市民芸術文化会館・劇場
《大阪公演》2010年9月18日(土)〜9月29日(水)、イオン化粧品 シアターBRAVA!
詳しくは、地球ゴージャスプロデュース公演Vol.11 「Xday」オフィシャルサイトへ

スター★ファイル

陽月さんインタビュー掲載

 陽月華さんのインタビューを「スター★ファイル」コーナーに「地球ゴージャス「Xday」出演へ 陽月華ロングインタビュー」として掲載しています。スター★ファイルの記事本文を読むにはAstand・ベーシックパック(月額525円)の購読が必要です。

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 (関連リンク:陽月華 オフィシャル ウェブサイト)


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