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プレシャス!宝塚

ザックと共に進化 宝塚星組・柚希礼音

2010年10月12日

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写真拡大友人もおらず、孤独な青年から成長するザックを熱演する柚希礼音(撮影・上田博志)(プロフィール)

 リチャード・ギア(61)主演で大ヒットした映画「愛と青春の旅だち」がタカラヅカの舞台でよみがえった。両親からの愛に飢え、友人もいない孤独な青年ザックが厳しい士官学校で、もがきながら成長する姿を描く青春ドラマ。ザックを演じるトップスター柚希礼音は髪もバッサリ。「殻に閉じこもった青年が不器用ながら成長する姿をしっかり表現したい」と気合十分だ。オペラ「カルメン」を元にした「激情」「ロミオとジュリエット」と大作続きだった柚希が、名優ギアの代表作で2010年を締めくくる。

 中高年にはなじみ深い主題歌のメロディーとともに幕が開くと若きリチャード・ギアが演じた「愛と青春の旅だち」の世界が大劇場に広がった。

 ロン毛にジーンズ、腕にはタトゥーまで入れたザックが、厳しい規律で知られる海軍士官養成学校に入学。しかし、このザックの人物形成はなかなか複雑だ。小さいころに母親が自殺。引き取られたフィリピンに住む父は酒におぼれ、愛人2人と暮らすとんでもない父親だった。孤独な少年時代を過ごしたからか、海軍士官養成学校に入っても友人に心を開くことはできず、恋愛もうまくはいかない…。あまりの孤独さに柚希も最初は役の気持ちがまったくつかめず、右往左往していたという。

 映画のDVDも何度も見た。リチャード・ギアが出演する米のトーク番組もチェックした。「ギアさんが当時のザックについて話していた部分があって。その時に“あの男は一筋縄ではいかなかったよ”みたいな事を言ってて。何か私も同じ事を感じていたので、すごくギアさんが身近になりました」と人懐っこい笑顔を浮かべた。

 ただ、大ヒット映画のミュージカル化とあって最大限に気も使う。「ファンの方からは“デートで行った”“若いころを思い出す”と言って下さる人もたくさんいるので、お芝居を見て“あれ? こんなだったかしら?”って言われないようにしないと(笑い)」。大作のイメージを崩さず、自分の個性を引き出すことに神経を費やしている。

 舞台ではランニング、壁上りに腕立て伏せ…。鬼教官フォーリーに怒鳴られながらトレーニングする様も壮絶だ。ダンスでは使わない筋肉を使っての見せ方に、当初は組子も筋肉痛に悩まされたという。「凰稀(かなめ)の鬼教官ぶりはなかなかすごいでしょ? (演出の)先生からは『予科生のころを思い出したらいい!』って言われるんですけど、予科生のイメージってここでは誰もが持ってるじゃないですか。ひとつのお芝居していて、全員がイメージできものがあるってすごいなあ(笑い)と」。

 しかし、物語のラストとなる卒業シーンではその鬼教官とも友情が深まり固く握手。映画より強調して描かれている和解シーンがタカラヅカらしく、柚希も「最後の握手の場面がすごく好きで自分でも感動しています」と話す。

 今年は大作続きだった。オペラ「カルメン」をベースにした「激情」でカルメンに翻弄(ほんろう)されるホセを熱演。「ロミオとジュリエット」ではいちずなロミオで客席を魅了した。「今回はホセやロミオのように自分の思いを熱く出す役ではなく、ザックって最初はほぼ表情もないですし。でも、そこが難しいけどだんだんおもしろくなってきました」。初日から千秋楽まで、さらなる進化が期待できそうだ。

 ◆「愛と青春の旅だち」 母が自殺し、軍人としてフィリピンに駐在する父に引き取られたザック(柚希)は、劣悪な環境の中で少年時代を孤独に過ごしていた。大学を卒業したザックは、堕落した父と決別し、海軍士官となるため養成学校に入学する。しかし、パイロットになるためには6年間の厳しい訓練に耐えなければならない。
 養成学校に入学したザックは鬼教官・フォーリー(凰稀)の元、同僚となったペリマン(涼紫央)シド(紅ゆずる)らとともに厳しい訓練に立ち向かうが、小さいころから友人もいなかったザックには集団行動する力や仲間への思いやりが欠如していた。
 そんな中、基地近くの製紙工場で働くポーラ(夢咲ねね)と知り合い不器用ながら恋愛や友情に目覚めていく…。

 ◆「愛と青春の旅だち」メモ テイラー・ハックフォード監督、リチャード・ギア主演で1982年に公開された米映画。鬼教官・フォーリーを演じたルイス・ゴセット・ジュニアが同年度アカデミー助演男優賞を受賞した。また、ジョー・コッカーとジェニファー・ウォーンズが歌った主題歌「UP WHERE WE BELONG」(邦題は映画タイトルと同じ)は日本でも大ヒットしアカデミー歌曲賞を受賞した。

 ☆柚希礼音(ゆずき・れおん) 6月11日生まれ、大阪市出身。四天王寺学園を経て99年「ノバ・ボサ・ノバ」で初舞台。星組配属。03年1月「おーい春風さん」でバウホール初主演。同年7月「王家に捧ぐ歌」で新人公演初主演。07年3月「さくら/シークレットハンター」から準トップスターとなり昨年4月、安蘭けいの退団を受け星組トップスターに。今年4月には全国ツアーで「カルメン」をベースにした「激情」、7月には「ロミオとジュリエット」に主演し話題となった。身長172センチ。愛称「ちえ」。

「プレシャス!宝塚」は、日刊スポーツ(大阪発行版)に連載中です。

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