現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 舞台
  4. ステージレビュー
  5. 記事

ステージレビュー

音月桂トップお披露目 宝塚「ロミオとジュリエット」

2011年1月2日

  • 文・さかせがわ猫丸、写真・岸隆子
フォトギャラリー(公演別)はこちら→

写真:宝塚大劇場公演「ロミオとジュリエット」より=撮影・岸隆子拡大宝塚大劇場公演「ロミオとジュリエット」より=撮影・岸隆子

 新年あけましておめでとうございます。ミュージカル「ロミオとジュリエット」が、宝塚大劇場で1月1日、初日を迎えました。宝塚歌劇今年のトップバッターをつとめるのは雪組です。音月桂(おとづき・けい)さんの大劇場トップお披露目公演でもあり、作品も大劇場に初登場。2011年の幕開けにふさわしいおめでた尽くしとなりました。

 「ロミオとジュリエット」は知らない人はほとんどいないと言っていい、シェイクスピアが残した世界で最も有名なラブストーリー、「ウエスト・サイド物語」など名作の源にもなっています。今回上演されるのは、2001年にジェラール・プレスギュルヴィック氏がアレンジしたミュージカル版で、世界を舞台に500万人以上の動員を誇ってきた話題作です。昨年の夏、星組が梅田芸術劇場と博多座で日本初上演を果たしたのは記憶に新しいところですが、斬新で大胆な演出と、星組トップコンビがピタリと役柄にハマり大絶賛でした。早く大劇場公演にならないか、待ち遠しくてたまらなかったので、新年早々、豪華なお年玉をもらった気分です!

 音月さんは端正なアイドル風のルックスが、ロミオを演じるにはピッタリで、お披露目作品には申し分ないでしょう。雪組は当面トップ娘役を固定しないそうで、ジュリエット役は舞羽美海(まいはね・みみ)さんと、夢華あみ(ゆめか・あみ)さんが役替わりで演じます。今公演から男役2番手に昇格したとみられる早霧せいな(さぎり・せいな)さんは、ロミオの親友マーキューシオを。花組から異動した未涼亜希(みすず・あき)さんが、おなじく親友ベンヴォーリオを演じます。ジュリエットの従兄弟・ティボルトは緒月遠麻(おづき・とおま)さんが演じ、役のウエートが前回の星組公演とは微妙に変化しています。そしてミュージカル版に登場するイメージダンサー「死」に、宝塚版では「愛」を加えているのもみどころ。悲劇を暗示する「死」には彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さん、優しく温かい幸せな「愛」は女性ですが、男役の大湖せしる(だいご・せしる)さんが演じています。

 ――イタリアのヴェローナでは、キャピュレット家とモンタギュー家の争いが何代にも渡り、それは今の若者たちをも巻き込んでいた。そんなある日、ヴェローナ一番の富豪パリス伯爵(彩那音/あやな・おと)が、キャピュレット家の娘ジュリエットに結婚を申し込む。キャピュレット卿は、借金も肩代わりするというパリスの申し出に、この縁談をまとめようと意気込んだ。幼い頃からジュリエットを想う甥ティボルトの反対や、ジュリエットの戸惑いも聞き入れようとはしない。

 音月さんはやっぱりロミオのビジュアルがよく似合いました。さわやかで女性にモテモテで、男性なんだけど、荒くれ者たちの中に咲くさわやかな花一輪といった感じ。ジュリエット役もフレッシュで、まさに恋を夢見る若い2人です。一方、若者たちは殺伐としています。キャピュレット側は赤、モンタギュー側は青と、憎しみ合う双方でイメージカラーを明確に分け、見た目にも迫力満点。それぞれリーダー的存在マーキューシオとティボルトは、とにかくキレやすい荒くれ者ですが、二枚目・早霧さんはさすがの演技力ですし、常に熱く濃いイメージの緒月さんもビジュアルからキマッていて、2人とも怖い。そんな中にも少し冷静さを持っているのがベンヴォーリオ。未涼さんはまさにこの役をやるために雪組へ来たのかと思わせるハマり役でした。

 ――キャピュレット家で行われた仮面舞踏会。ベンヴォーリオとマーキューシオにそそのかされ忍び込んだロミオはそこで、パリスから逃げ回るジュリエットと出会う。これこそが運命の出会いだった。互いの家が対立する相手だと知っても、気持ちはもはや抑えきれず、ロレンス神父(奏乃はると/そうの・はると)の元、ジュリエットの乳母(沙央くらま/さおう・くらま)の協力を得て、永遠の愛を誓った。だが2人の結婚を知った双方の友人たちは激怒。争いが始まり、ついにティボルトがマーキューシオを殺害し、逆上したロミオは自らナイフを手にティボルトを殺してしまう――。

 星組公演に引き続きキャピュレット卿を演じる専科の一樹千尋(いつき・ちひろ)さんは、重厚な演技で舞台を引き締め、晴華みどり(はるか・みどり)さんはその実力を如何なく発揮できる夫人役で、ジュリエットの親として苦悩をまといます。沙央さんがジュリエットの乳母を演じているのにも驚きました。頬を丸く染めた人のいいおばさんからは、ふだんの男役姿が想像できません。たくさんの登場人物にそれぞれ大きな役割があり、音楽もこれぞ海外ミュージカル! と思わせるものばかりで、ロック調の軽快な曲からしっとりと聞かせる歌まで、さすが世界的ヒット作品だとうならせる素晴らしさ。音月さんの歌唱力はきちんとその重さに応えています。歌のソロパートを持つのが主役の2人はもちろん、一樹さん、早霧さん、未涼さん、緒月さん、沙央さん、奏乃さん、晴華さん…と、これほど多い作品もなかなか他には見当たらないかもしれません。ご贔屓が舞台に一人立ち熱唱するシーンは、ファンにとってもたまらないでしょうね。

 宝塚版にアレンジされているので、全般的に愛と美しさに満ちていて、悲劇的なラストではありますが、いつものように満たされた気分で最後は夢見心地に…。古典の重さや難しさは一切ありません。現代的な衣装や音楽、そして斬新な演出で、「ロミオとジュリエット」は完全なる新しいミュージカルとして生まれ変わっていました。フィナーレにはもちろんショーもついています。ラストに登場する2人の美女は誰?とよく見てみると…今回、お芝居で女性を演じている大湖せしるさんと沙央くらまさん。ダイナミックかつ優雅に音月さんと絡み、ステキな3人のダンスを披露しています。

 フレッシュでキュートな魅力が光る音月さんと新生雪組、そして2011年は、やがて宝塚の財産となるであろう名作で幕が開きました。

◆ロミオとジュリエット

《宝塚大劇場公演》2011年1月1日(土)〜2011年1月31日(月)
詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ
《東京宝塚劇場公演》2011年2月17日(木)〜2011年3月20日(日)
詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ

スター★ファイル

宝塚OGのインタビューなど掲載

 宝塚OGを中心とした舞台人へのロングインタビューを「スター★ファイル」コーナーに掲載しています。スター★ファイルの記事本文を読むにはAstand・ベーシックパック(月額525円)の購読が必要です。ベーシックパックの購読は、こちらから。

⇒スター★ファイル 記事一覧へ

筆者プロフィール

さかせがわ猫丸
大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コムに「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

検索フォーム

おすすめリンク

ミュージカル「愛と青春の宝塚」から生まれた元宝塚トップスター紫吹淳、湖月わたる、彩輝なお、貴城けいによる期間限定ユニット「T4」のシングル

元宝塚・月組トップスター、瀬奈じゅんのDVD作品「エリザベート2009」などをご紹介

映画・テレビ・舞台に大活躍の小栗旬さんの作品を集めました。

宝塚歌劇不朽の名作「ベルばら」関連もの、いろいろ揃っています

抜群の歌唱力と表現力で様々なジャンルの楽曲を歌いこなす元宝塚トップスター

扉絵の再現、名場面、名セリフ、お宝グッズ、アニメ、宝塚、史実が1冊に


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介