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ステージレビュー

真琴つばさ、10年ぶりの宝塚男役 「愛と青春の宝塚」

2011年2月17日

  • 文・写真:岩村美佳
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写真:ミュージカル「愛と青春の宝塚」より=撮影・岩村美佳拡大ミュージカル「愛と青春の宝塚」より=撮影・岩村美佳

写真:「愛と青春の宝塚」囲み会見より=撮影・岩村美佳拡大「愛と青春の宝塚」囲み会見より=撮影・岩村美佳

 宝塚元トップスターがタカラジェンヌを演じる、ミュージカル「愛と青春の宝塚」が青山劇場で上演されている。2008年12月、新宿コマ劇場のラスト公演として上演後、全国各地を訪れた作品。2011年は新キャストを加え、ラストのレビューシーンを一新した。第二次世界大戦前後の貧しい昭和の日本で、時代に翻弄されながらもタカラジェンヌとして懸命に生き、自らの生き方を見つけて行く。ラストシーン、もんぺ姿で歌い踊るタカラジェンヌ達の輝く瞳を見て、戦争を終えた日本が復興して栄えて行く未来を思う。男役トップスターのリュータン役をダブルキャストで演じる真琴つばさは、宝塚男役を演じるのは10年ぶり。羽根を背負い、階段を下りてくる登場場面、かつて見た「トップスター・真琴つばさ」の舞台が蘇ったようだった。現役さながらのかっこよさだ。原作・脚本・原詞は大石静、演出は鈴木裕美、作曲は三木たかし。テンポのよい飽きさせない展開と演出はさすが。昨年他界した三木の手掛けた最後のミュージカル作品ともなったが、劇場からの帰り道、口ずさみながら帰りたくなるメロディがいい。

 1939年(昭和14年)、第二次世界大戦が始まった年、兵庫県宝塚市の小さな温泉場に生まれた女性だけの「宝塚歌劇団」は、宝塚大劇場で華やかなレビューや演劇などを興行したくさんの観客を楽しませていた。雪組男役トップスターのリュータンこと嶺野白雪は、大型スターとして人気を博していた。ある日、レビューのフィナーレを迎えた舞台に客席から靴が投げ込まれる。貧しい身なりをした少女、のちの橘伊吹(タッチー)だった。追いかける警備員から逃げ、思わず宝塚の入学試験会場に飛び込んで隠れる。周りの受験者たちに紛れ、一緒に踊りだした。「キラキラしていたから靴を投げた」というタッチー。審査をしていた宝塚の作家兼演出家の影山航の目にとまり、受験を勧められる。そして天涯孤独で行き場のないタッチーは、入学を決意する。共に同期生となった星風鈴子(トモ)はとにかく早くトップスターになりたいという野心家で、紅花ほのか(ベニ)はひたすら無邪気にリュータンに心酔していた。ともに音楽学校の厳しい訓練を乗り越えて初舞台を踏み、そして雪組に配属される。リュータンに迎えられた初舞台生たちは、そのスターオーラに圧倒されるが、徐々にタカラジェンヌとして成長していく。それぞれに宝塚への思いを抱えながら舞台を務める日々を送るが、宝塚へも戦争の足音が近づいてくる。宝塚大劇場に閉鎖の命令が告げられた…。

 リュータン役は真琴と、初演で同役を演じた湖月わたる。舞台稽古前に行われた囲み会見で真琴は「『超低音男役トップスター』で売り出しています(笑)」とアピール。「この舞台に出れてすごく幸せを感じています」と喜んだ。そして「物語の中に、友達感覚で最後には結ばれるという理想の恋愛像があります」とも話した。対する湖月のキャッチコピーは「戦前初の超長身男役トップスター」だそう。「出演者全員に一体感があり、皆キラキラした笑顔です。真琴さんがドカンとしてくださっているのでまとまっています」と話した。同じ日に「結婚が決まった夢をみた!(笑)」という、息のあった2人。かつての経験をいかし、それぞれの魅力溢れるトップスターを演じる。

 タッチーを演じるのは、彩輝なおと貴城けい。タッチーはリュータンのあとを継ぐことになるが、実際に2人も真琴と湖月の後輩で、設定に重なるところもある。リュータンの相手役となるトモは星奈優里と陽月華。ベニは紫城るい、彩乃かなみが演じる。このメインキャスト8名全員が元宝塚トップスターであり、経験者しか持ち得ない宝塚の華やかさと存在感に惹きつけられる。その他の女性アンサンブルも全員宝塚OGが揃った。史実を元に描かれた作品とはいえあくまでフィクション。しかし、同じ宝塚を卒業したOGがこの作品を演じることでリアリティが深まり、観客の心にもよりいっそう感動を伝えている。このメインキャストに深く関わる男性陣も実力派が揃った。影山を岡田浩暉、海軍中尉の速水悠介を坂元健児、宝塚生まれの頭脳明晰、絵の上手な青年オサムを松下洸平が演じている。

 会見ではバレンタインデー間近とのことで、娘役から男役へのチョコレートプレゼントのサプライズがあった。真琴は娘役からのチョコレートを「義理チョコ」ではなく「仲間への絆チョコ」だと熱く語る。現役時代にはたくさんもらったという元男役トップ達は、「女性でこんなにもらうのは宝塚の男役しかいないでしょう」と頷きあう。今年は「感謝チョコ」を共演者や舞台を支えるスタッフに配り、舞台を共に作る仲間達へ「愛」を届ける。

 宝塚の遺伝子は脈々と受け継がれている。長く続いてきた宝塚の歴史において、その遺伝子が宝塚を愛する力の源になってきたのではないだろうか。生きることが厳しい時代に、エンターテイメントの必要性に悩みながら懸命に生きたタカラジェンヌに思いを馳せた。

◆「愛と青春の宝塚」 〜恋よりも生命よりも〜

《東京公演》2010年2月10日(木)〜2月27日(日)、青山劇場
《浜松公演》2011年3月3日(木)、アクトシティ浜松大ホール
《松本公演》2011年3月5日(土)、まつもと市民芸術館 主ホール
《仙台公演》2011年3月9日(水)、イズミティ21 大ホール
《熊本公演》2011年3月12日(土)、崇城大学市民ホール(熊本市民会館)
《大阪公演》2010年3月19日(土)〜3月20日(日)、梅田芸術劇場 メインホール
《札幌公演》2011年3月23日(水)、ニトリ文化ホール(さっぽろ芸術文化の館)
《名古屋公演》2010年3月26日(土)〜3月27日(日)、愛知県芸術劇場 大ホール
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