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ステージレビュー

映画館で世界最高峰のオペラとバレエ、優雅なひととき

2011年2月17日

  • フリーアナウンサー・坂口智美
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写真:(C)2011「COLD SLEEP」製作委員会拡大(C)2011「COLD SLEEP」製作委員会

写真:(C)2011「COLD SLEEP」製作委員会拡大(C)2011「COLD SLEEP」製作委員会

写真:“Carmen”Teatro alla Scala,2009 / Photo by Marco Brescia拡大“Carmen”Teatro alla Scala,2009 / Photo by Marco Brescia

写真:“Romeo and Juliet”Royal Ballet,2010 /©NHK拡大“Romeo and Juliet”Royal Ballet,2010 /©NHK

写真:“Swan Lake”Bolshoi Ballet /Photo by Melanin拡大“Swan Lake”Bolshoi Ballet /Photo by Melanin

 バレエとバイオリンの共演を映像でとらえた「COLD SLEEP」と、世界最高峰のオペラとバレエをシリーズで紹介する「ワールドクラッシク@シネマ2011」のダイジェスト試写会が14日、大阪市の梅田ブルク7で行われた。映画館の大画面と大音響で楽しめるクラシック公演の数々。オペラやバレエに触れたいと思っている人にはピッタリの企画になっている。

 「COLD SLEEP」はデビュー10周年を記念したバイオリニスト・川井郁子と、ロシアバレエ界の至宝とも称されるファルフ・ルジマトフとの初共演のステージ映像。昨年10月の新国立劇場公演を撮影したもので、物語は人類の創世記を思い起こさせる内容だ。水のしずくの音、「Wake Up…」女のささやきから物語は始まる。川井とルジマトフは、まるで「アダムとイブ」「キリストと聖母マリア」のようだった。

 ルジマトフは、世界はもとより、日本でも著名なダンサーである。1991年、来日公演での「海賊」アリ役から一気にファンを増やしたが、20年経った今も、その高度なテクニックと表現力の豊かさ、情熱が随所に垣間見え、カリスマ性さえ感じるほど。川井郁子は、演奏者としてだけではなく、踊り、かがみ、さらには地に這いつくばって、ルジマトフと絡み合いながらバイオリンを演奏する。時に、弓は音を紡ぎだす楽器ではなく、武器にもなって…。

 この、ダイナミック、かつドラマチックな舞台を、天井から、舞台袖から、そして真下から、延べ12台のハイビジョンカメラで、まるで万華鏡のように映像化している。そして、5.1chサラウンドの迫力。バイオリンとバレエのコラボレーションという画期的な試みの魅力をあますところなく堪能できる。

 「ワールドクラシック@シネマ2011」はソニー「Livespire」が2008年から展開している、シリーズプログラム。海外の一流オペラハウスやバレエ団の舞台公演は、生で観ることが難しく、来日してもチケット代が高額。ファンなら恋焦がれるその舞台公演を、身近な映画館で大画面・高精細な映像と高音質により、生の舞台以上のライブ感を体験できると、オペラファンやバレエファンに好評で、映画館に足を運ぶ人が年々増えている。

 2011年も、世界最高峰のバレエとオペラの8作品が用意されている。この日の試写会では、その中の4作品のダイジェストが上映された。

 オペラは、ミラノスカラ座の2つ。「カルメン」は2009シーズン初日に収録された。「シモン・ボッカネグラ」は昨年四月、癌と闘い復帰した世紀のテノール歌手ドミンゴの舞台。どちらも貴重な映像だ。主役のソロはもちろん、迫力あるコーラス、衣装やアクセサリーの豪華さ、舞台装置の細工、一人一人の表情や、髪の毛一本の色まで楽しめる。

 バレエは、英国ロイヤルバレエの「ロメオとジュリエット」と、ボルショイバレエの「白鳥の湖」。ジュリエットの吉田都は、長年ロイヤルバレエでプリンシパルを務めたが、その最後の舞台。客席からでは見えない繊細な表情、息遣いまで鑑賞できる。小鳥のような恋心とロミオの元へ旅立つ愛の瞬間には、観客席から嗚咽が漏れた。そして、ロシアバレエの底力を感じさせるボルショイの名作。白鳥役のダンサー達の迫真の演技と等身大の迫力。トーシューズの音とチュチュの生み出す微風まで感じられた。

 このほかオペラとバレエの2作品ずつ、合計8作品が、3月から8月頃まで、全国15ヶ所で上映される。

 劇場で直に鑑賞するオペラやバレエの魅力は、何物にも代えがたい。それは、自分もまた舞台を作り上げる要素のひとつ…観客だからだ。ただ、リアルな鑑賞は固定席からの視聴に限られる。複数のカメラでとらえた映像を通して、出演者の演技や踊り、舞台装置、そして音楽をあらゆる角度から楽しめるのは、ある意味最高の贅沢かもしれない。オペラ通やバレエファンだけでなく、初心者の人も是非楽しんでほしい。

《筆者プロフィール》 坂口智美(さかぐち・ともみ) フリーアナウンサー。ラジオの放送記者を経て現職。大阪生まれ、在住。音楽・美術・観劇・美食・旅をこよなく愛し、各分野のコミュニケーションを目指す。チュニジアが故郷のアロマテラピーの啓蒙にも力を入れている。(IAA国際アロマニスト協会関西支部長)

◆COLD SLEEP

《全国ティ・ジョイ系で公開》
詳しくは、COLD SLEEP 劇場版公式サイトへ

◆ワールドクラッシク@シネマ2011

《全国の映画館で順次公開》
詳しくは、Livespire ライブスパイアのページへ


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