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ステージレビュー

しなやかにのびやかに 瀬奈じゅん「ALive II」

2011年4月4日

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写真:瀬奈じゅんコンサート「ALive II」より=撮影・仲宗根美幸拡大瀬奈じゅんコンサート「ALive II」より=撮影・仲宗根美幸

写真:瀬奈じゅんコンサート「ALive II」より=撮影・仲宗根美幸拡大瀬奈じゅんコンサート「ALive II」より=撮影・仲宗根美幸

 宝塚を卒業して1年、「エリザベート」「アンナ・カレーニナ」などミュージカルのヒロインを演じ、華麗なる女優へのステップを着実に歩み始めた瀬奈じゅんが、自身のコンサート「ALive II」を開催した(4月1日〜5日 東京・赤坂ACTシアター/9〜10日 大阪・NHK大阪ホール)。(文・中本千晶 写真・仲宗根美幸)

 幕開きは、おなじみの「Sing,Sing,Sing」による小粋な始まり。「久しぶりに、踊りまくりたかった」という自身の希望による「ニューヨークメドレー」で、客席は一気に明るくはつらつとした瀬奈ワールドに引き込まれる。

 タイトルの「ALive」とは、「alive=今を生きる」「A Live=一つのライブ」「あさこ(瀬奈の愛称)のライブ」など、さまざまな意味がこめられている。昨年5月に行われた第1回目のコンサートは、宝塚を卒業後初めての舞台だったこともあってか「女性へと変わりゆく自分」を強調するものとなった。だが、1年を経た今回は、男っぽい場面も肩の力を抜いてサラリとこなしている印象。いっぽうでぐっとセクシーな場面も加わり、結果として「男っぽさ」と「女っぽさ」の触れ幅の大きい、見応えのある舞台となった。

 「ME AND MY GIRL」や「紫に匂う花(「あかねさす紫の花」より)」など思い出の舞台からのタカラヅカメドレー、「EL VIENTO」などのショーメドレー、ミュージカルの名曲など、まさに「美味しいとこ取り」な選曲。もちろん、前回に続き、コンサートのテーマソングともいえる「ALive」も歌う。

 「エリザベート」からは、「愛と死の輪舞」と「最後のダンス」の2曲を、全員がトートダンサーの経験者でもある男性ダンサー6名を従えて歌った。その姿は宝塚を卒業した今は決して見ることができないトート閣下を彷彿とさせる。

 今回はアンサンブルとして、宝塚の娘役出身である舞城のどか、美鳳あや、大月さゆの3名が加わった。いずれも宝塚時代は実力派娘役として各組でそれぞれの役割を果たしていた3人が、素顔の自分で歌い踊る姿が気持ちいい。瀬奈を筆頭とした「4人姉妹」的な関係性も新鮮だ。

 注目は何といってもPart IIIの「Libertango」。男役時代の癖が抜けなくて、今でも相手役をついついリードしてしまいがちという瀬奈が、「身を委ねる」ことを学ぶべく、今回のコンサートに取り入れたという場面だ。背中の開いた大胆な衣装を身にまとった瀬奈が、6人の男性に身を任せながらアルゼンチンタンゴを踊る。初日はまだ少し堅い感じがしたけれど、回を重ねるにつれ進化していく予感。今までにない、女優・瀬奈じゅんの新たな顔がみられそうだ。

 そして、クライマックスはやはり「Apasionado!!」。1年前のコンサートでは、この曲のときにスリットの入った衣装で太股をチラ見せして客席が歓声の渦につつまれたが、今回はさらにバージョンアップ! 宝塚時代は男役の色気全開で歌っていた同じ曲を、今はハンサムウーマンのお色気全開で聴かせる。

 このコンサートの稽古中に、東日本大震災が起こった。宝塚時代に阪神大震災を経験した瀬奈としては、今回のコンサートの開催にあたっても、正直、「舞台から夢をお届けするなんて、きれいごとに過ぎないんじゃないか」という思いもあったという。プログラムの挨拶文の冒頭にも「このごあいさつを考えている今、コンサートが開催されるのか、皆様の目にこの文章が触れるのか、分かりません」と書かれてあった。迷いに迷った末の開催の決断。出演者でアイデアを出し合ってデザインを決めたというチャリティーTシャツを販売、終演後は自ら義援金の箱を持って劇場入り口に立つ。

 初日の4月1日は、瀬奈自身の誕生日でもある。カーテンコールで出演者と客席から「ハッピーバースデー」の歌で祝福を受けた瀬奈は、「37歳になりましたが何か?」「37歳新人女優、これからもがんばります!」とおどけてみせた。そんな風に年齢をサラリと言ってのけるのも、自分らしく歳を重ねていくハンサムウーマンならではの心意気だ。

 こういう時期だからこそ…だろうか。ただ、しなやかに踊りのびやかに歌う姿の心地良さを、改めて実感させられるコンサートだった。

《筆者プロフィール》中本千晶(なかもと・ちあき)フリージャーナリスト。宝塚関係の著作に「宝塚読本」(文春文庫)、「なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか」(小学館新書)。Astandスターファイルでも「ヅカナビ」連載中。

◆ALive II 〜Handsome Woman〜

《東京公演》2011年4月1日(金)〜4月5日(火)、赤坂ACTシアター
《大阪公演》2011年4月9日(土)〜4月10日(日)、NHK大阪ホール
詳しくは、公式サイトへ

スターファイル

瀬奈じゅん インタビュー全文掲載 

 「ALive II」を開催する瀬奈じゅん インタビュー全文の全文を「スターファイル」コーナーに1年ぶりのコンサート「ALive II」へ 瀬奈じゅん インタビュー全文として掲載しています。スターファイルの記事本文を読むにはAstand・ベーシックパック(月額525円)の購読が必要です。ベーシックパックの購読は、こちらから。

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