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ステージレビュー

危機乗り越え「桜」満開、OSK「春のおどり」開幕

2011年4月4日

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写真:OSK日本歌劇団「春のおどり」より=撮影・岸隆子拡大OSK日本歌劇団「春のおどり」より=撮影・岸隆子

写真:OSK日本歌劇団「春のおどり」より=撮影・岸隆子拡大OSK日本歌劇団「春のおどり」より=撮影・岸隆子

写真:OSK日本歌劇団「春のおどり」より=撮影・岸隆子拡大OSK日本歌劇団「春のおどり」より=撮影・岸隆子

写真:OSK日本歌劇団「春のおどり」より=撮影・岸隆子拡大OSK日本歌劇団「春のおどり」より=撮影・岸隆子

 OSK日本歌劇団の「レビュー 春のおどり」が3日、大阪松竹座で開幕した。存続の危機を乗り越えて2004年に大阪松竹座で復活して以来8回目となる「春のおどり」。来年、創立90周年を迎えるOSKの劇団員(初舞台生・舞台実習生も含む)全員が参加する1年に1度の舞台だ。(文・坂口智美 写真・岸隆子)

 今年の「春のおどり」は、和洋レビューの2本立て。第1部「繚乱 さくら 桜 サクラ」は、文字通りOSKのシンボルの花「桜」がテーマ。恒例の台詞「は〜る〜の〜おどりは〜〜、ヨーイヤー、サァー!!(チョン)」で幕が開くと、舞台は一気に日本絵巻。アレンジされたOSKのテーマ曲「桜咲く国」でのオープニングは、まさに豪華絢爛。男役トップスターの桜花昇ぼる(おうか・のぼる)、2番手男役の高世麻央(たかせ・まお)、3番手男役の桐生麻耶(きりゅう・あさや)の若衆姿の美しいこと! “振り分けの根取り下げ”の鬘がとてもよく似合う。衣装の着物も圧巻だ。特に、黒字に金銀の鳳凰柄の桜花の姿には、神々しさまで感じられる。名実ともに三拍子そろった男役トップの貫録十分だ。

 場面は、桜の名所、吉野山か、嵐山か。桜花扮する公達が美しい姫君(牧名ことり)と出逢い、恋に落ちるが実は…。恋する喜び、悩み、苦しみを演じる桜花の表情は実に豊かだ。一転して、山中では桜争い。高世率いる白キツネチームと桐生率いる猿チームが、「うちの桜が一番!」と言わんばかりに競い合う。「コーン」「キーッ」キツネと猿のしぐさの工夫には、感心した。コミカルな音楽とダンスで楽しませてくれた。神の使いのような白狐の高世と粗野でやんちゃな山猿の桐生。どちらの役もぴったりだ。

 そして、江戸の夜桜の下、初々しい若者達の夜桜デート。いなせな男衆・桐生の歌声は、のびやかで劇場を包む込むような低音でうっとりするほど心地よい。

 第1部のフィナーレは、現代。茶髪に着物姿が、新鮮だ。元気な歌声は、震災で弱った日本の心を奮い立たせてくれるよう。歌謡曲あり、クラシックあり。古風な純日本舞踊と洋物とが自然に融合されていて、すっかり「桜酔い」してしまった。

 第2部は、「STARS LEGEND 〜DANCE DANCE DANCE〜」。まさに「おどりのOSK」ならではのステージ。次から次へと展開される、歌とダンス。音楽も、ロック、ジャズ、タンゴ、クラシック…。男役は、もちろん凛としてカッコイイ。しかし、娘役も魅力的。可愛く、可憐に、セクシーに。

 そして、これを見たら誰でも元気になるラインダンス。誘導する「チェリーガールズ」の五人は、OSKのダンスユニット。キュートでスピーディなダンスが身上だ。リーダーの珂逢(かあい)こころが今回の舞台で退団するのは惜しいが、そこは「ダンスのOSK」。伝統を継承する新しい芽がどんどん出てくるだろう。若手達の成長も著しい。群舞でも、一人一人がキラッと光っている。歌とダンスでつづられた世界旅行、あっという間の1時間だった。

 フィナーレの後、アンコールの拍手で幕が開き、トップ男役、桜花昇ぼるが東日本大震災募金をお願いした。「日本中の皆さんが笑顔になれるような舞台を目指して、千秋楽までがんばりたい」。そして「桜咲く国、桜、さくら〜」のテーマ曲に合わせて恒例の桜色の傘回し。客席も一緒に歌い、ミニパラソルを掲げている人も多かった。

 日本の花、OSKのシンボルの花「桜」。どんなことがあっても、桜はまた来年も咲く。存続の危機を経験しただけに、OSKの舞台からは、今回限りかもしれないという真摯な気持ちが伝わってくる。東日本大震災前のアサヒ・コムのインタビューで、桐生が「舞台に立っていることが当たり前とは思わない。失ってみなきゃわからない部分がある」と話したのが印象的だった。そして、東日本大震災でこの国が危機的状況にあるからこそ、「春のおどり」のテーマ曲「桜咲く国」は重く感じられた。「春のおどり」が、今後とも、観た人の心に満開の桜を咲かせてほしいと願わずにはいられなかった。

《筆者プロフィール》坂口智美 フリーアナウンサー。ラジオの放送記者を経て現職。大阪生まれ、在住。音楽・美術・観劇・美食・旅をこよなく愛し、各分野のコミュニケーションを目指す。チュニジアが故郷のアロマテラピーの啓蒙にも力を入れている。(IAA国際アロマニスト協会関西支部長)

【インタビューの全文はこちら】

◆OSK日本歌劇団 レビュー「春のおどり」

《大阪公演》2011年4月3日(日)〜2011年4月10日(日)、大阪松竹座

詳しくはOSK日本歌劇団オフィシャルウェブサイトへ

 (関連リンク:OSK日本歌劇団オフィシャルウェブサイト


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