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ステージレビュー

熱く燃えたぎるショー「ノバ・ボサ・ノバ」、宝塚で開幕

2011年4月17日

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写真:宝塚大劇場公演「ノバ・ボサ・ノバ」「めぐり会いは再び」より=撮影・岸隆子拡大宝塚大劇場公演「ノバ・ボサ・ノバ」「めぐり会いは再び」より=撮影・岸隆子

写真:宝塚大劇場公演「ノバ・ボサ・ノバ」「めぐり会いは再び」より=撮影・岸隆子拡大宝塚大劇場公演「ノバ・ボサ・ノバ」「めぐり会いは再び」より=撮影・岸隆子

 宝塚星組公演「ノバ・ボサ・ノバ」が、4月15日、宝塚大劇場で初日を迎えました。「ノバ・ボサ・ノバ」といえば、宝塚の数ある演目の中でもショーの傑作と名高く、いつ再演されるか待ち遠しいほどでした。初演は1971年、今回で7度目となりましたが、作品の求心力は健在です。リオのカーニバルを舞台にした、熱く濃く燃えたぎるラテン・ショーは、星組トップスター柚希礼音(ゆずき・れおん)さんの持ち味にジャストフィットでしょう。また、オーロ、マール、メール夫人の3役を、夢乃聖夏(ゆめの・せいか)さん、紅ゆずる(くれない・ゆずる)さん、真風涼帆(まかぜ・すずほ)さんで役替わりするのも見逃せません。(文・さかせがわ猫丸、写真・岸隆子)

 柚希さんは、1999年に月組で上演された「ノバ・ボサ・ノバ」の新人公演で、ドア・ボーイを演じました。登場はほんの少しなのですが、ファンのなかには「ノバ・ボサ・ノバ のドア・ボーイは重要」という見方をする人もいるそうです。

 4月はフレッシュなタカラジェンヌもデビュー。この公演が97期生の初舞台となり、まず最初に口上があります。まだ慣れない舞台メイクで、緑の袴を着た初舞台生が緊張の面持ちでずらりと並び、劇場にピーンと張り詰めた空気が満ちるのは、この時期独特のもの。ここからまた未来のスターが生まれるのだと思うと、感慨深くなりますね。

 初舞台生に温かな拍手が送られ、いよいよ「ノバ・ボサ・ノバ」の幕が上がりました。まず舞台の様子がいつもと少し違うことに気付かれると思いますが、これが「ノバ・ボサ・ノバ」の大きな特徴の一つ。「八百屋舞台」といって、八百屋さんの店先のように手前から奥の方が高く傾斜になっています。舞台の奥までよく見渡せ、臨場感が増す効果があるそうですが、なんだか出演者のふくらはぎが痛くなりそう…と思う間もなく激しいダンスシーンの連続が、体力の限界に挑みそうな勢いで始まります。しっかりとしたストーリー仕立てになっていますので、そのあたりも味わってみてください。

 三日三晩、踊り明かされるというリオのカーニバルがいよいよ始まった。義賊のソール(柚希)と盗賊のオーロ(夢乃=4月28日まで)がそれぞれ銀行で強盗事件を起こす。オーロはさらに夜のクラブで、観光客のエストレーラ(夢咲)とメール夫人(真風=4月28日まで)に接近しネックレスを奪う。それをソールが取り返すが、再びオーロの子分ボールソ(美弥るりか/みや・るりか)に奪われてしまう。パトカーに追われたオーロは、物売り男マール(紅=4月28日まで)の許婚ブリーザ(白華れみ/しらはな・れみ)にキスをして警官をやり過ごすが、そのことが新たな恋の始まりに。マールはブリーザを探して、カルナバルの熱気あふれる街をさまよう。ソールとエストレーラにもまた恋が生まれた。だが、エストレーラのネックレスはどこに? ルーア神父(涼紫央/すずみ・しお)とシスター・マーマ(英真なおき/えま・なおき)に見守られながら、次から次へと起こる騒動の行方は――。

 カーニバルの人々が踊りながら続々と現れるところから、もう胸がワクワクします。まるでテーマパークのライド系アトラクションに乗ったような気分でしょうか。次々と繰り広げられる激しいダンスには、観ているだけで盛大にカロリー消費した気分になるほど。舞台上のみなさんがほぼ裸足なのも、リアルな野性味にあふれています。大きな鷲が翼を広げたかのような柚希さんのダイナミックなダンスは、これまた手足の長い夢咲さんと2人で踊ると、その美しさにますます拍車がかかり夢見心地にさせてくれます。

 夢乃さん、紅さん、真風さん、美弥さんの成長も著しく、白華さんや万里柚美(まり・ゆずみ)さんたち美しい娘役の豊かな演技、おへそまでみえるビキニで弾けるように踊る礼真琴(れい・まこと)さん始め若手の台頭も目ざましく、もちろん涼さんと英真さんのストーリーテラー的役割のコンビもイイ味を出して、今の星組の充実ぶりを十二分にアピールしました。

 ダンスだけではなく歌もふんだんに登場します。どの曲も非常に難しそうですが、柚希さんの歌声は伸びやかで、特に最後のクライマックスシーンは圧巻です。全員で盛り上がって「ビバ・サンバ♪」と歌いながら、客席もともに完全燃焼…。「ノバ・ボサ・ノバ」、やはり名作でした。

 そして第2部は、ロマンティック・ミュージカル「めぐり会いは再び」。さきほどの太陽ギラギラ、顔も黒塗りでノリノリ・モードから一転、ヨーロッパの王子様とお姫様に大変身です。幕間にクールダウンできないほどの興奮が残ったまま、幕が上がると目の前にはパステルなおとぎ話の世界へ…このギャップがすごくて、やられた〜という気分に。

 18世紀の戯曲「愛と偶然との戯れ」を題材としているそうですが、ストーリーはいたって明快です。

 伯爵の娘シルヴィア(夢咲)のお婿さん選びに参加するため出かけた、公爵の息子ドラント(柚希)と従僕のブルギニョン(紅)。ドラントは道中、旅芸人たちに出会ったのをきっかけに、ブルギニョンと自分の立場を入れ替え、シルヴィアの品定めをすることを決めた。シルヴィアもまた、花婿の素顔を見極めようと、侍女のリゼット(白華)と入れ替わる。花婿候補はそれぞれに事情をかかえた4人。そして、お婿さん選びは思わぬ方向に展開して行き…。

 ‘立場を入れ替える’というアイデアは昔からよく登場しますが、やっぱり素直に面白い。紅さんの情けない従者と、絶えずあわてふためいてる侍女の白華さんがキュートで、柚希さんと夢咲さんのキャラクターもそれぞれハマっていて、素直に感情移入できました。

 両親の身分違いの恋から生まれたドラントは、父に棄てられ、苦労して亡くなった母を見て、恋愛に懐疑的で女嫌いになっています。でも侍女リゼットに扮したシルヴィアと出会って彼女に恋心を抱き、同じ道をたどろうとする自分に気づき苦悩します。その時に歌う、平井堅さんの「LIFE is…」の胸に染み入ること…。柚希さんはこうしたバラード調の歌がよく似合いますね。最後はもちろんハッピーエンドで、みんなが幸せになれるのがいい。フィナーレに少しつけられたショーも、男役の群舞がいつもと少しテイストの違ったダンスで、みなさんの衣装の色と合わせて渋さが光りました。トップコンビのデュエットダンスも、優雅でゴージャス。まったく違う持ち味のショーと芝居を堪能できて、満足感でいっぱいになれます。

 「ノバ・ボサ・ノバ」というライド系アトラクション(?)、この迫力はぜひ生で体感してほしい。春らんまんの季節ですが、劇場の中は熱くて濃い星組で真夏のごとく燃えています。

◆「ノバ・ボサ・ノバ」「めぐり会いは再び」

《宝塚大劇場公演》2011年4月15日(金)〜5月16日(月)
詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ
《東京宝塚劇場公演》2011年6月3日(金)〜7月3日(日)
詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ

 <筆者プロフィール>さかせがわ猫丸 大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コムに「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。


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