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ステージレビュー

「双璧」の友情を描く舞台、「銀河英雄伝説 外伝」

2011年6月28日

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写真:「銀河英雄伝説 外伝 ミッターマイヤー・ロイエンタール編」より=撮影:上野由日路(ZENI.)拡大「銀河英雄伝説 外伝 ミッターマイヤー・ロイエンタール編」より=撮影:上野由日路(ZENI.)

 大ベストセラー小説の初の舞台化で話題の「銀河英雄伝説」。本年1月の「銀河帝国編」に続いて、「外伝 ミッターマイヤー・ロイエンタール編」が、池袋のサンシャイン劇場で上演された。(文・中本千晶)

 「銀河英雄伝説」の舞台は今からはるか1500年後の未来、「銀河帝国」の若きの英雄ラインハルトと「自由惑星同盟」の知将ヤン・ウェンリーの対決を主軸に、宇宙空間での壮大な戦いを描く長編小説だ。今回の外伝では、ラインハルトの信頼厚き部下であり、ファンの間でも根強い人気を誇る「双璧」こと、ウォルフガング・ミッターマイヤーとオスカー・フォン・ロイエンタールの2人にスポットを当てる。

 「ホットとクール」、色でいうなら「赤と青」ほどに対照的な2人がいかにして出会い、固い友情で結ばれ、やがてラインハルトという生涯の主君を得るまでが、今回の舞台では描かれた。

 「疾風ウォルフ」の異名を取るミッターマイヤーを演じるのは中河内雅貴。正義感に溢れた、平民出身の熱血軍人で、「燕のように軽やかな」エヴァンゼリンという女性(松島志歩)を一途に愛している。

 対するロイエンタールは東山義久。女性をまったく信じていないにも関わらず「女性と勝利のほうが彼のほうに寄ってくる」という天性の色男。「金銀妖瞳(ヘテロクロミア)」という青い左目と黒い右目の持ち主だが、この神秘的な瞳に隠された出生の秘密が、彼の心に暗い影を落としている。

 2人ともに、原作やアニメのイメージどおりで、まるで二次元の世界から抜け出てきたよう。前作で着ていたグレーの軍服に加え、新バージョンの白い軍服姿も爽やかだった。 1幕の舞台はイゼルローン要塞の士官酒場。ダンスシーンをふんだんに織り交ぜながら、2人の運命的な出会いを描く。原作の小説「星を砕く者」ではわずか数行にあたる部分を大幅に膨らませたストーリーで、サスペンスの要素もある。

 ドーラという謎の女性(長澤奈央)がそれぞれに絡んでいくことで、2人の対照的な女性観を際立たせて見せている。ミッターマイヤーの忠臣ドロイゼン少尉を演じる中塚皓平はコミカルな役どころで、冒頭にダンスの見せ場もある。

 2幕では、数々の激戦をくぐり抜け、固い友情で結ばれた2人が、ラインハルトという生涯の主君に出会うまでを描く。溢れる正義感が災いして窮地に陥ったミッターマイヤーをロイエンタールが救い出すという、原作の小説でのエピソードが忠実に再現されており、原作ファンにも見所が多そう。

 門閥貴族の家柄を鼻にかけるおかっぱ頭のお坊ちゃま、フレーゲル男爵に、スタジオライフから三上俊。貴族方の冷静沈着な忠臣アンスバッハ准将には、前作から引き続いて高山猛久。電気ムチをふるう「拷問係」(笠原竜司)もちゃんと登場する。

 「双璧」の絆が堪能できるのは、原作ファンにはたまらないだろう。本編ではあくまでラインハルトの部下としてしか登場しない2人の人物像が、奥行きを持ってじっくり描かれるのは、外伝ならではの面白さ。本編で再び2人が出てきたときにも、親しみが持てそうだ。

 11月に上演が決まっているオリジナル・ストーリーでの外伝「オーベルシュタイン編」(貴水博之主演)にも期待がかかる。⇒詳しくは、公式サイトへ

《筆者プロフィール》中本千晶(なかもと・ちあき)フリージャーナリスト。宝塚関係の著作に「宝塚読本」(文春文庫)、「なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか」(小学館新書)。Astandスターファイルでも「ヅカナビ」連載中。


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