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ステージレビュー

中高年のファンがぎっしり、舟木一夫公演の魅力を探る

2011年8月29日

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写真:舟木一夫特別公演より=(C)新歌舞伎座拡大舟木一夫特別公演より=(C)新歌舞伎座

写真:舟木一夫特別公演より=(C)新歌舞伎座拡大舟木一夫特別公演より=(C)新歌舞伎座

写真:舟木一夫特別公演より=(C)新歌舞伎座拡大舟木一夫特別公演より=(C)新歌舞伎座

 2012年に芸能生活50周年を迎える歌手、舟木一夫の特別公演が、大阪の新歌舞伎座で開かれた。公演は20日間休むことなく続けられ、ほとんどが昼夜2回の公演。中高年のファンで満席状態の劇場に足を運び、人気の理由を探った。(アサヒ・コム編集部 橋本正人)

 公演は2部構成で、第1部は芝居の「銭形平次〜蛍火の女〜」。婚礼を目前にした娘がいる饅頭屋に、突然、博徒たちが押し寄せる。主人が賭博で抱え込んだ借金の返済を迫って店を荒らし、娘を渡せと迫る。岡っ引きの銭形平次(舟木)が間に入り、いったん博徒らは引き上げるが、その親分は何者かに殺される。饅頭屋の主人が犯人として逮捕されるが、平次はある女性が真犯人ではないかと推察する。実の母であると打ち明けられない女が、娘のために犯した罪。牢獄に運ばれる途中の女を襲って刺し、さらに娘を手に入れようとする暴漢たちに平次は…、というストーリー。

 平次役の舟木は66歳だが、両手に十手を持った「二丁十手」で悪漢どもを相手に大立ち回りする姿は、若い共演者に負けていない。もともとハンサムな顔に時代劇の舞台化粧が映え、舞台に登場する女たちが平次に熱を上げるのも、思わず納得してしまう。

 第2部の「舟木一夫オンステージ」では、舟木が派手なカクテルライトを浴びて登場。1曲目を披露した後、会場の通路に花束や紙袋を抱えた女性たちが腰をかがめて並び、2曲目を歌う舟木に1人ずつ握手をして花束などを渡してゆく。舟木は歌いながら抱えきれないほどの贈り物をステージ上のテーブルに並べてゆく。中央通路のファンが終わると、その左側の通路のファン。その後は一番左、さらに元に戻って中央左、中央、右側の通路…と、ファンのプレゼントは果てることなく続く。やがて、舞台上は、花束と紙袋などの贈り物の山で埋めつくされてしまった。整然とした観客の行動は、ファンの組織力の強さを表しているように感じた。

 歌は大ヒットした「高校三年生」をはじめ、「絶唱」「学園広場」「高原のお嬢さん」などお馴染みの曲が続く。バックコーラスの3女性をはじめ、ギター、ピアノ、フルートなどの音色が舟木の歌を背後から支える。最初は背筋を伸ばして固い表情で聞いていた客席の男性も、プログラムが進むにつれて口もとが動きはじめる。隣席の女性は手拍子をしながら熱心に歌っている。アンコールの後、明るくなった会場で席を立ちながら、白髪の男性の1人が「何十年か前にタイムスリップしたみたいだな」と連れの女性に声をかけていた。

 舟木は舞台上のトークで「流行歌は、その歌がヒットした時にリアルタイムに聞いていた人、その世代のものと言い切ってしまってもいいかもしれない」と話していた。1960年代に流行した学園ソング、青春歌謡に親しんだ世代にとっては、舟木は自分の青春を象徴する歌手。会場で舟木と同じ空気を吸っている観客は、舟木を通して若い頃の熱い思いが体の中によみがえったように感じるのではないか。舟木一夫公演の人気の理由は、そんな「若返り体験」にあるように思えた。

 (関連リンク:舟木一夫オフィシャルホームページ


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