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ステージレビュー

水夏希そっくりの真風涼帆が主演、宝塚「ランスロット」

2011年8月30日

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写真:宝塚バウホール公演「ランスロット」より=撮影・岸隆子拡大宝塚バウホール公演「ランスロット」より=撮影・岸隆子

 宝塚歌劇星組のバウホール公演、バウ・ミュージカル「ランスロット」が開幕した。有名なアーサー王伝説・円卓の騎士を下敷きにしたオリジナル作品で、作・演出はバウデビュー作「BUND/NEON 上海」で香港ノワール的なダークな味付けの舞台を作った若手の生田大和。主演は元雪組トップスターの水夏希にそっくりと評判の真風涼帆(まかぜ・すずほ)。真風にとっては、これがバウ初主演作品となる。また「幻想楽団『Sound Horizon』」を主宰するRevo氏がスタッフに参加するなど、話題満載の舞台だ。(アサヒ・コム編集部 橋本正人)

 物語は英国に伝わる有名なアーサー王伝説をもとにしたもの。アーサー王は、エクスカリバーと呼ばれる聖剣を抜いて王になった話が有名だが、この話をモチーフとした舞台は1998年の宙組誕生時に、姿月あさと、花總まりらが「エクスカリバー −美しき騎士たち−」で演じており、今作ではエクスカリバーの話は詳しくは語られない。

 ランスロットはアーサー王に忠誠を誓う「円卓の騎士」の1人で、王妃であるグウィネビアと不倫のような関係になり、王と対立する立場になって「円卓の騎士」が分裂してしまうというのが、一般的なストーリーだ。今回の舞台でも基本的な筋立ては同じだが、ランスロットが腕を切り落とした少年の恨みをかい、この少年が魔力で片腕の騎士に変身してランスロットの命を狙うという設定になっている。

 ランスロット役の真風は、見れば見るほど水夏希にそっくり。歌が課題と聞いていたが、太く響く声は男役にピッタリだし、音程も思ったよりしっかりしている。短い音とビブラートを自在に操れるようになれば、評価を一転させられる可能性があると感じた。グウィネビア姫を演じる早乙女わかば(さおとめ・わかば)は、可憐なお姫さまがピッタリの恵まれた容姿で、体重が無いかのようにふわりと舞う姿は、花總まりをほうふつとさせた。

 アーサー役の天寿光希(てんじゅ・みつき)は、定評ある歌唱力で舞台の完成度を高め、演技も笑顔も安定感がある。魔女、モルゴース役の花愛瑞穂(かわい・みずほ)は、大振りな表情で舞台に幅を持たせ、幼グウィネビア役の綺咲愛里(きさき・あいり)は愛くるしい目元で子供時代の役にぴったり。第2幕でランスロットの命を狙うモルドレッドを演じた芹香斗亜(せりか・とあ)は迫力たっぷりの演技で今後が楽しみだった。

 音楽は、物語性の強い曲を作ってきたRevo氏らしく、ゆったりとしたメロディーが時の流れを感じさせる。戦闘シーンでは一転して劇的な三拍子が効果的に使われ、殺陣で剣と剣がぶつかった時にキュイーンと効果音が響くシーンがあるのも面白かった。

 舞台中央には大きな円形の装置が設置され、舞台奥から客席に向かって傾斜のついたいわゆる八百屋舞台になっている。騎士たちが円卓に並んで合議で政治を進めるという「円卓の騎士」のイメージを強調した装置だが、この斜めのセットの上で激しい殺陣を繰り広げ、最後のショーでは黒燕尾でタンゴまで踊るのだから、バランスを崩さないようにするのは大変だろう。また、ランスロットの持つ剣が黒光りする一風変わった剣だなと思っていたら、この剣は劇団☆新感線のインディ高橋氏がデザイン・製作したとのことだった。

 新しい取り組みが次々と行われるバウホール。荒削りでも未来に向かって恐れずに挑んでゆく若い出演者・演出家・スタッフの勢いを見せつけられた「ランスロット」公演だった。

◆バウ・ミュージカル「ランスロット」

《バウホール公演》2011年8月26日(金)〜9月5日(月)
詳しくは、宝塚歌劇団公演案内へ


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