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ステージレビュー

衣裳も演技も甘美な一夜、スタジオライフ「夏の夜の夢」

2011年11月16日

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写真:スタジオライフ「夏の夜の夢」(Bonbonチーム)公演より拡大スタジオライフ「夏の夜の夢」(Bonbonチーム)公演より

写真:スタジオライフ「夏の夜の夢」(Bonbonチーム)公演より拡大スタジオライフ「夏の夜の夢」(Bonbonチーム)公演より

写真:スタジオライフ「夏の夜の夢」(Bonbonチーム)公演より拡大スタジオライフ「夏の夜の夢」(Bonbonチーム)公演より

写真:スタジオライフ「夏の夜の夢」(Bonbonチーム)公演より拡大スタジオライフ「夏の夜の夢」(Bonbonチーム)公演より

 男性ばかりの劇団「スタジオライフ」の音楽劇「夏の夜の夢」が上演されている。妖精と人間が入り混じって恋の騒動が繰り広げられる、日本でもおなじみのシェイクスピアの喜劇だ。スタジオライフとしても3度目となるこの作品だが、今回、美術と衣裳、ヘアメイクにイラストレーターの宇野亜喜良氏を起用したことでも注目されている。視覚的にぐっと引き込まれた一夜となった。(アサヒ・コム編集部 岩瀬春美)

 スタジオライフは今回、「夏の夜の夢」と「十二夜」の2作を同じ時期に交互に上演。「夏の夜の夢」はダブルキャストで2チーム、「十二夜」はシングルキャストで、全部で3チーム構成され、役を変えて3チームすべてに出演するキャストもいる。筆者が観劇したのは「夏の夜の夢」の「Bonbon」の回。暗闇の中、ホタルが飛び交うようにいくつもの小さな灯が舞い、妖精パック(倉本徹)が登場。「いつでもないいつか、どこでもないどこか」という語りから始まる。

 アテネの公爵シーシアス(牧島進一)とアマゾンの女王ヒポリタ(松本慎也)の婚礼を目前にひかえた夜の出来事。駆け落ちしてきたライサンダー(関戸博一)とハーミア(及川健)、その2人を追ってきたディミートリアス(緒方和也)とヘレナ(青木隆敏)、2組の若い男女が妖精のすむ森に入り込んだ。4人の若者達は、妖精王オーベロン(石飛幸治)の気まぐれと、妖精パック(倉本)の勘違いから、間違えて魔法をかけられて大混乱に。町の職人や妖精達も入り混じって一夜の大騒動が起こる。

 ほれ薬を間違った相手にかけられ、混乱する4人の若者たち。ライサンダーを演じる関戸は、事あるごとに周りのキャストから「あたりさわりのない顔」といじられ、独自のキャラを形成。ディミートリアス役の緒方は、ハーミア(及川)から「なんか地味」と相手にされず、“じみートリアス”と自虐的につぶやく。その軽さゆえにハーミアに振り向いてもらえないという役どころだ。そんなキャスト達のかけあいに客席は終始笑いの渦に。

 どこか頼りない若い男性2人が草食系だとしたら、ヘレナ(青木)と、ハーミア(及川)は肉食系女子だ。青木が演じるヘレナは、ディミートリアスに邪険に突っ放されても猪突猛進していく。身振り手振りや甲高い声でかわいい女を主張しながらも、野太い声で男を垣間見せる、強烈な個性で笑わせる。2人の男を夢中にさせるハーミアを演じるのは、劇団のベテランの及川。前半は愛らしいハーミア。ところが後半、ヘレナとのけんかが引き金となって一気に壊れる。あのかわいかったハーミアが…と呆気にとられるくらい変貌する乙女の様子に目が離せない。

 舞台の上には、天井まであるカラフルな登り棒5本と木のペイントをあしらった等身大の積み木が設置されていて、キャスト達は縦横無尽に動き回る。舞台を降りても全力疾走。観客席の通路を何往復も走っていくキャスト達の勢いは、後半になっても衰えない。妖精のパックを演じる倉本も、自らを「中年」妖精と称しながらも大奮闘だ。その動きを追うのに、観客の首も上下左右によく動いた。ハーミアを演じる及川にいたっては、2本の登り棒の間に体を横に入れ、アルファベットの「H」のような形で停止するアクロバティックなポーズも見せる。

 イラストレーター・宇野亜喜良氏による、注目の衣裳とヘアメイクは、目でごちそうをいただくようだ。なないろの綿菓子のようなヘアのティターニア(林勇輔)は、甘くておいしそう。ヒポリタ(松本)のメイクは魅惑的。言葉を発さなくても顔ですべてを物語っているかのようだ。

 原文に忠実にせりふを発しながらも、「この年になって少女を演じる私の気持ちがわかる?」(及川)などとアドリブをきかせ、それぞれの登場人物とキャスト本人が手をつないで一体化しているように見えた。それはシェイクスピア作品とスタジオライフの融合でもあり、その意味で「どこでもないどこか、いつでもないいつか」というフレーズがしっくりきた。

 終わってみれば、甘美な夢をみていたような気持ちが残る。こんな夢なら毎日でも見たいと思わせてくれた作品だった。

◆スタジオライフ公演 音楽劇「夏の夜の夢」「十二夜」
《韓国公演》2011年11月18日(金)〜11月20日(日)同徳女子大学パフォーミングアーツセンター
《新潟公演》2011年12月3日(土)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場
《東京・亀有公演》2011年12月10日(土)かめありリリオホール
東京、大阪公演は終了しています。
⇒詳しくは、劇団スタジオライフ公式ページへ


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