現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 舞台
  4. ステージレビュー
  5. 記事

ステージレビュー

濃密な大人の時間「TANGO Doki Doki」

2011年11月28日

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:「TANGO Doki Doki」公演より=撮影・岩村美佳拡大「TANGO Doki Doki」公演より=撮影・岩村美佳

写真:「TANGO Doki Doki」公演より=撮影・岩村美佳拡大「TANGO Doki Doki」公演より=撮影・岩村美佳

 DIAMOND☆DOGSのタンゴシリーズを締めくくる「TANGO Doki Doki」が27日で閉幕した。DIAMOND☆DOGSは、今注目の、踊って歌える7人の男性ユニットだ。リーダーは先頃の「眠れぬ雪獅子」の好演などで注目される東山義久。今回はそこに、宝塚出身の安寿ミラ、香寿たつきの2人がゲストとして加わった。演出は荻田浩一。(フリージャーナリスト・中本千晶)

 ストーリー仕立ての第1部では、2組の男女をめぐるドラマを踊りと歌で見せる。ある女(安寿ミラ)は、自分の元を去ってしまった恋人(東山義久)の面影が忘れられず、彼を追って旅立つ。女の友人(香寿たつき)は、恋人(中塚皓平)と幸せな日々を送っているが、女が旅立ったことを手紙で知り、自分もまた彼女を追って旅立たずにはいられない。こうして、2組の男女は引き寄せられるかのごとく集結し、そこでは…。

 舞台上部には、パリのコンコルド広場に今の季節にだけ設置されるという大観覧車を思い起こさせるようなセットがつり下げられている。このセットを上げ下げすることで、空間の移り変わりを表現するのが巧みだ。このセットが出現すると華やかだが乾いた都会の夜の雰囲気が醸し出され、セットがつり上げられると、漆黒の夜空に星がまたたく背景に変わる。舞台はカーテンで左後方から右前方に斜めに仕切られ、その後ろでタンゴ楽団として知られる「アストロリコ」が生演奏を聴かせる。

 1部の後半からラストにかけてが圧巻だった。「恋心」や「友情」といったありきたりの言葉では語れないような、「男女」「女と女」、そして「男と男」の情念のもつれを、安寿、香寿、東山、中塚の4人を中心に踊りで表現していく。まさに、タンゴならではの大人の妖艶な世界。見てはならぬ心の深淵を覗き見てしまったようなドキドキ感があり、なるほど! だから「TANGO Doki Doki」なのかと納得させられてしまう。

 後半の第2部では、打って変わって、おなじみの名曲の数々に乗ってDIAMOND☆DOGSのメンバーがひたすら踊りまくる。7人の総踊りはもちろんのこと、ソロありデュオあり、安寿や香寿も要所要所で加わり、さまざまなバリエーションでのダンスが見られるのが楽しい。男性7名を従えて踊る安寿は惚れ惚れするかっこよさだし、バンドネオンの音色に乗せて香寿の甘美な歌声が聴けるのは至福の時である。

 DIAMOND☆DOGSのメンバーも個性が光った。東山義久は、安寿、香寿とデュエットするときのセクシーな大人の男の顔と、ユニットの仲間たちと踊るときのやんちゃな少年のような顔の二面をみせる。また、中塚皓平は長身を生かした端正な踊りが印象的。長髪の2人はずっと髪を束ねているのだが、最後だけ髪を束ねずに登場。激しい踊りのなかでハラリと顔にかかる髪にはっとさせられた。

 このほか、森新吾、小寺利光、和田泰右がそれぞれに色の違うダンスを見せ、咲山類とTAKAの2人は歌を中心に活躍した。可愛らしい子どもダンサーも2人登場。全般的にアダルトな雰囲気のなか、彼女たちが登場すると、ほっと一息つける感じがする。

 最初から最後まで、全編「タンゴ攻め」の2時間余。しかも、アストロリコの生演奏とともにダンス、歌が堪能できる贅沢な舞台だった。

◆DIAMOND☆DOGS “TANGO”Series FINAL「TANGO Doki Doki」
《東京公演》天王洲 銀河劇場
公演は終了しています。

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚関係の著作に「宝塚読本」(文春文庫)、「なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか」(小学館新書)。今年10月に「なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか」(東京堂出版)を出版。Astandスターファイルでも「ヅカナビ」連載中。


検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介