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2011年12月1日
「GOLD〜カミーユとロダン〜」が、12月8日から東京のシアタークリエで開幕する。現代彫刻の巨匠オーギュスト・ロダンと、その弟子で愛人のカミーユ・クローデルの波乱に満ちた人生をミュージカル化した作品。フランク・ワイルドホーン作曲、ナン・ナイトン脚本・作詞。森雪之丞が訳詞を手がけ、白井晃が演出する。カミーユ役を新妻聖子、ロダン役を石丸幹二、カミーユの弟ポール役を伊礼彼方、カミーユの母を根岸季衣、父を西岡徳馬が演じる。2003年のアメリカ初演以来、初の海外上演となり、日本初演となる。(フリーフォトグラファー・ライター 岩村美佳)
訪れた稽古場では2幕の稽古が行われていた。稽古場の構造上、たくさんの彫刻が並ぶステージと演出席の間に座り、手が届きそうな超至近距離での撮影となったが、稽古が始まる前には出演者達が「超レアだよね!」と声をかけてくる。そんな和やかな雰囲気から一変して、緊張感のある場面が始まった。
ロダンのアトリエを出て家族の元へ帰ったカミーユは父との安らぎの時間を得たが、母と弟はカミーユの芸術はふしだらだと認めない。弟ポールは清らかな神の世界へと導こうと、カミーユに必死に訴える。カミーユへのまっすぐでピュアな透明感のある歌声は伊礼の新しい魅力だ。
否定する周囲に対して、自由がほしいと歌うカミーユ。誰もなしとげられなかったことを私が実現するのだと、ひとり芸術の道へ進んでいく。湧き溢れでる熱い心と強い意志を表現する新妻の歌声を聞いていると、鳥肌が立ってくる。この役にはこの人しかいないと確信した。
ブリュッセルでの個展を成功させたカミーユの元にロダンが訪ねてくる。再び愛を確かめあったふたりは、一緒にパリへと戻った。しかし、次々と成功を手にするロダンに対して女性の芸術が認められないパリで、カミーユはロダンから離れていく。自分の元を離れたカミーユを思い、手紙を送り続けるロダン。そんなに自由が欲しかったのかと、彼女を思い歌う。老いてなお、ただ愛を送り続けるロダンを、石丸は熱情をほとばしらせて演じていた。
それぞれの思いをストレートにぶつけあう作品。その思いをフランク・ワイルドホーンの美しく壮大な音楽で、力のあるキャスト陣がどう仕上げて歌い演じるのか、本番の舞台に期待が高まる。
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◆ミュージカル「GOLD〜カミーユとロダン〜」
《東京公演》2011年12月8日(木)〜12月28日(水) シアタークリエ
⇒詳しくは、公式サイトへ
《筆者プロフィール》岩村美佳 フリーフォトグラファー、フリーライター。舞台関係、ファッションなどを中心に撮影してきた経験をいかし、ライターとしても活動している。「目に浮かぶ言葉」を伝えていきたい。