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ステージレビュー

劇場がハロウィン状態に「ダンス オブ ヴァンパイア」

2012年1月17日

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写真:「ダンス オブ ヴァンパイア」公演より拡大「ダンス オブ ヴァンパイア」公演より

写真:「ダンス オブ ヴァンパイア」公演より拡大「ダンス オブ ヴァンパイア」公演より

 山口祐一郎が、マントをひるがえしてヴァンパイア(吸血鬼)を演じるミュージカル「ダンス オブ ヴァンパイア」が、2011年11月から2012年1月にかけて、東京の帝国劇場と大阪の梅田芸術劇場で上演された。難しいことは言わずに徹底的に遊ぶということで人気を呼び、再演を重ねてきたこの舞台。観客と一緒に舞台を盛り上げて行く数々の工夫も効果的で、満席の劇場全体はハロウィン・パーティー状態になっていた。(アサヒ・コム編集部 橋本正人)

 劇場入り口では「光るブレスレット」が来場者全員に配られ、「カーテンコールの際に使って下さい」と説明される。ロビーに進むと、電気仕掛けのコウモリがパタパタと羽ばたきながら頭上を飛んでいる。ロビー横には、ヴァンパイアの格好をした山口がキバをむいて女性にかみつこうとしている等身大パネルが立てられ、くりぬかれた女性の頭部の場所から観客が顔を見せて、記念撮影している。携帯電話などでこの様子を撮影した写真は、多くの人がブログやフェイスブックにそのまま掲載するので、ソーシャルネットワーク(SNS)上の「口コミ」効果は抜群だ。

 本番の舞台も遊びの要素がいっぱい。ヴァンパイアたちが客席に降りてきて、キバをむき出して客にかみつこうとするのは、当たり前。休憩時間の幕間には、クコール役の駒田一がパフォーマンスを見せるが、「クコール劇場」はリピーターの間に知れ渡っていることもあり、休憩時間になっても駒田が舞台から消えるまで、席を立つ人がほとんどいない。ヒロイン・サラの入浴シーンは、上の階からバスタブの中が見えるかもという発言などもSNSに書き込まれる。最後のカーテンコールでは、客席が総立ちとなって「光るブレスレット」を振り回してダンス。2階席に向かって「光るブレスレット」を投げ上げるキャストもいる。そんなこんなで客席は3階席までギッシリ満杯だ。

 クロロック伯爵役の山口は、ささやくような声と共鳴させた声を使い分ける独特の歌唱で、甘くて怖いヴァンパイアになりきり、「モーニング娘。」を卒業して初の舞台となった高橋愛は、伸びやかに動く身体を効果的に使ってサラ(知念里奈とダブルキャスト)を熱演。サラに振り回されるアルフレート役(山崎育三郎とダブルキャスト)を初演から担当している浦井健治は、おっちょこちょいでヘタレの若者をコミカルに演じていた。

 ネタばれになるが、最後はヴァンパイアにかみつかれて、ほとんどの人間がヴァンパイアとなり、それはそれで、めでたしめでたしとなる。もともと「徹底的に楽しむ」のが狙いの舞台なので、教訓めいた話を求めるのは野暮というものだろう。浦井が公式ページのレポートで書いていた「大の大人が、真面目に本気で遊ぶというのが醍醐味」という表現が、この公演の本質をもっともよくとらえていると思った。

(公演は終了しています)


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