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ステージレビュー

新生「ジキル&ハイド」、美声バトルと迫力の演技

2012年3月28日

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写真:ミュージカル「ジキル&ハイド」より=写真提供・東宝演劇部拡大ミュージカル「ジキル&ハイド」より=写真提供・東宝演劇部

写真:ミュージカル「ジキル&ハイド」より=写真提供・東宝演劇部拡大ミュージカル「ジキル&ハイド」より=写真提供・東宝演劇部

 1人の人間の中に存在する善と悪を描いた19世紀末の小説をもとにしたミュージカル「ジキル&ハイド」が28日、東京公演の最終日を迎えた(大阪では4月6日から上演、名古屋公演は4月14日から)。国内では2001年から鹿賀丈史主演で4度上演されてきたこの作品。今回は主要キャストが一新され、新生「ジキル&ハイド」の出発となった。(デジタル事業セクション・橋本正人)

 「ジキル&ハイド」の音楽は、数々のミュージカル作品で有名なフランク・ワイルドホーンが、プロとして初めて手がけた記念碑的なもの。今回、ジキルを演じる石丸幹二は2011年末にワイルドホーンの「GOLD 〜カミーユとロダン〜」に主演したばかり。また、ジキルとハイドに深くかかわる娼婦・ルーシーを演じる濱田めぐみは、劇団四季退団後第1作として2012年1月にワイルドホーンの「ボニー&クライド」に出演し、ボニー役をつとめている。ジキルの婚約者・エマ役の笹本玲奈も、ワイルドホーンの「ルドルフ ザ・ラスト・キス」でマリー役を演じた経験を持つ。

 石丸は、精神病をわずらった父親の治療のために新薬を開発したものの「神の領域」を犯すことを嫌う有力者らの反対を受け、自ら人体実験をすることになった医師の苦悩を、高く伸びる声と直っすぐな演技で好演。ジキルとハイドの2つの人格を、2つの声質で見事に歌い分けている。濱田は、ジキルに心惹かれながらハイドに追われる娼婦の哀しみを、厚みのある声と深い演技で熱演。劇団四季出身のこの2人の歌に、エマ役の笹本玲奈の澄んだ歌声が加わり、さながら美声バトル状態。天井からのライトを多用して背景を暗く保った演出は、重いストーリーの緊迫感をいっそう高めていた。

 なかでも特に印象に残ったのは濱田の演技。上演前の単独インタビューで「飽きるほど徹底的に稽古をして技術的なものはすべて体に入れ込む。その上で、本番では役を後ろで運転し、好きにやっていいよと、役に身を委ねる」と話していた濱田。この作品では、華々しい歌で登場してから一転、ジキルと寝なかったために女衒に殴られ「お前らの働く場所はベッドの上だ」と責められる。床の上に倒れ込んで「申し訳ありませんでした」とつぶやく濱田の身体から娼婦の哀しみと怒りが舞台上にあふれ出て、一気に感情移入させられた。歌はもちろん抜群だが、歌だけではない、濱田の底力を見せつけられた思いだった。

 「ジキル&ハイド」の公式サイトには、石丸と濱田、指揮の塩田明弘が登場した【アフタートークショーの動画】が掲載されているが、2つの声を使った石丸の苦労話や、濱田の「ベルトボイス」の話など、興味深い内容になっている。

 

【濱田めぐみインタビュー全動画はこちら】

◆「ジキル&ハイド」
《東京公演》2012年3月6日(火)〜3月28日(水) 日生劇場
《大阪公演》2012年4月6日(金)〜4月8日(日) 梅田芸術劇場メインホール
《名古屋公演》2012年4月14日(土)〜4月15日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
詳しくは公式サイトへ http://www.tohostage.com/jekyll/index.html


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