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吉本百年物語「わらわし隊、大陸を行く」水野真紀に聞く

2012年7月23日

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写真:吉本百年物語8月公演「わらわし隊、大陸を行く」制作発表より=撮影・小林勝彦拡大吉本百年物語8月公演「わらわし隊、大陸を行く」制作発表より=撮影・小林勝彦

写真:吉本百年物語8月公演「わらわし隊、大陸を行く」に出演する水野真紀=撮影・小林勝彦拡大吉本百年物語8月公演「わらわし隊、大陸を行く」に出演する水野真紀=撮影・小林勝彦

 吉本興業の歴史を描く芝居「吉本百年物語」の第5弾「わらわし隊、大陸を行く」が8月11日から、大阪・なんばグランド花月で上演される。大阪・難波八阪神社で行われた8月公演の制作発表では、ミスワカナを演じる水野真紀、相方の玉松一郎役の木村祐一、石田一松役の松尾貴史が出席し、役への意気込みを語った。会見後、朝日新聞デジタルでは水野真紀に単独インタビューを行った。(フリーライター・岩瀬春美)

 8月公演は、夫婦漫才のミスワカナ・玉松一郎、演歌師の石田一松ら「わらわし隊」のメンバーが日中戦争のさなか、命をかけて兵士に笑いを届けに行く姿が描かれる。「わらわし隊」は1938(昭和13)年、朝日新聞社と吉本興業が共同で組織した演芸慰問団。当時の人気漫才師らが「わらわし隊」のメンバーとして中国に派遣され、戦地の部隊を回って慰問をしていた。

 制作発表が行われた難波八阪神社は、第1回わらわし隊メンバーが1938年、慰問に出発する前に実際に参拝した場所。会見前、出演者たちが境内で神主の祈祷を受け、公演の成功を祈った。引き続き行われた会見では、水野、木村、松尾の3人がそれぞれ役への思いなどを語った。

 ミスワカナ役の水野は、紅い花を髪に飾り、黄色を基調とした鮮やかな振袖姿で登場。ミスワカナについて、水野は「すごく難しい役」と話し、「ワカナが戦地で惨状を目の当たりにする中で、どう考え、笑いに昇華させていったのかを、これからの稽古で葛藤していくのではないかと思います」と語った。また「日本人の強さや底力を、舞台を通して改めて確認していただけたら」と話した。公演ではワカナが歌うシーンがあり、ワカナと一郎の夫婦漫才も観られるとのこと。

 木村と松尾は、ロイド眼鏡をかけて軍帽を被り、カーキ色の軍服姿で現れた。「『吉本百年物語』は、どんな状況でも1人でも多くの人に笑いを届けたいという芸人や裏方の魂を見せている作品。その精神が我々現代の芸人にも伝わっている」と木村。「天国の玉松一郎さんに、『木村くんという子がやってるの、ちょっと見たろか』と言ってフンと鼻で笑っていただけるような、そんなお芝居になれば素敵だと思います」と抱負を語った。

 松尾は、演歌師・石田一松について「タレント代議士第一号になった人です」と説明し、代表作「のんき節」やヒット曲「いやじゃありませんか」の1フレーズを口ずさんだ。また、「社会時評みたいなことを皮肉を込めて語り、庶民の喝采を集めていたキャラクターです。そのあたりは自分と重なるところもあるのかな。あやかりたいと思う面もあり、非常にやりがいがある役だと思います」と意欲を見せた。

 続く質疑応答では、記者から木村に「戦地で人を笑わす心情について、現役の芸人としてどう思うか」という質問が向けられた。「命からがら生き延びた方や、人をやっつけてきた兵隊さんなどが、笑いを見に来られていた。人が亡くなっていく状況の中でも、人は笑いを求めるものかと。そんな人たちに何を届けたらいいのかと葛藤があったと思います」と木村。「最初に舞台に立つ前は、ほんまにできるのかというマイナス思考ばっかりだったと思う。それを勇気づけてくれたのは、お客さんの拍手や笑顔、最初の笑い。それが次への活力となったと推測します」と真剣な面持ちで話した。

   ◇

 制作発表終了後、朝日新聞デジタルでは、ミスワカナ役の水野真紀に単独インタビューを行った。初代「きれいなおねえさん」として、電気製品のCMに登場してから20年。自身の冠番組「水野真紀の魔法のレストラン」はこの春12年目に入り、現在は女優業を中心に幅広く活躍している。

 水野は3人兄弟の次女で、子どもの頃から「空気を読むのが上手い」と言われていた。「母がヒステリーを起こさないためには、あまりわがままを言わないように」などと常に考えて行動していたそうだ。女優として活躍する傍らプライベートでは、妻であり、一児の母でもある。仕事と家庭は「両立とは考えていない。やりくりです」。「使えるものは何でも使う。だけど空気は読んでいます。ここまで任せちゃうといっぱいかな、ここは私がしないとだめかな、とか」。「家庭においては、私がマネージャー」とほほ笑む。

 吉本の舞台は「どこまでが台本上で、どこからが台本から外れているのかが、ちょっと分からない不思議な世界」という印象を持つ。「話術や滑舌、発声一つにしても、芸人さんは鍛え上げられているから、違うなと感心しています。私はそのあたりの回転がにぶいので…」と水野は話し、アドリブに今からドキドキしている様子だ。

 ミスワカナについて「きっと後悔のないように、自分の感覚を信じて行動していた方だと思います。常にアンテナを張り、勉強していないとプラスの方向性にはならない。読み書きはできなかったと言われていますが、実際は頭のいい方だったと思います」と水野は話す。7月公演はダンスや漫才など、ミスワカナの芸人としての才能の部分に焦点が当たるのに対し、8月公演では人としてのメンタルな部分が強めに描かれるという。

 「お笑い」がなくなりかけた吉本にとって悲運な時代に、芸人たちがたくましく生きる姿を描く「わらわし隊、大陸を行く」。「8月公演は外せないテーマです」と水野は力を込め、「笑って、泣いて、踊りや歌もあり、みなさんのあらゆる感情がシャッフルされるような舞台になると思いますので、ぜひご覧ください」と話した。

【インタビュー全動画はこちら】

◆吉本百年物語8月公演「わらわし隊、大陸を行く」
2012年8月11日(土)〜9月2日(日) なんばグランド花月
⇒詳しくは、吉本百年物語公式サイトへhttp://www.yoshimoto.co.jp/100th/monogatari/

(関連リンク:水野真紀オフィシャルサイト) http://www.toho-ent.co.jp/actress/show_profile.php?id=1298

《筆者プロフィール》岩瀬春美 福井県小浜市出身。人生の大半を米国ですごした曾祖父の日記を読んだことがきっかけでライターを志す。シアトルの日本語情報誌インターン、テクニカルライター等を経て、アサヒ・コム編集部のスタッフとして舞台ページを担当。2012年1月よりフリーランスのライターとして活動。


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