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ステージレビュー

西本智実指揮「イルミナートフィル」、結成コンサート開く

2012年11月9日

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写真:「大和証券グループPresentsイルミナートフィルハーモニーオーケストラ結成記念コンサート」より「フィンガルの洞窟」=写真提供:(株)オフィスTEN拡大「大和証券グループPresentsイルミナートフィルハーモニーオーケストラ結成記念コンサート」より「フィンガルの洞窟」=写真提供:(株)オフィスTEN

写真:「大和証券グループPresentsイルミナートフィルハーモニーオーケストラ結成記念コンサート」より=写真提供:(株)オフィスTEN拡大「大和証券グループPresentsイルミナートフィルハーモニーオーケストラ結成記念コンサート」より=写真提供:(株)オフィスTEN

 世界を舞台に活躍する指揮者、西本智実率いる、新しいスタイルのオーケストラ「イルミナートフィルハーモニー」の結成記念コンサートが、11月2日、3日、上野恩賜公園の野外ステージにて開催された。(フリージャーナリスト・中本千晶)

 屋外でのクラシックコンサートは、日本では珍しい。奏者は、気温や湿度の変化の中で楽器のコンディションを整えながら演奏するのが大変だそうだが、聴く側もそれなりの準備が要る。さすがに肌寒いこの時期、観客はみな一足早い冬支度で来場し、入り口では毛布やカイロも配布されていた。

 それでも天候に恵まれたこともあり、爽やかな屋外の空気の中でクラシックのメロディが流れる空間というのは、なんとも心地よい。西本いうところの「いとをかし」という言葉がしっくり来る。「つるべ落とし」の晩秋の夕暮れ、幕開き時にはまだ陽が明るかったのが、みるみるうちに暗闇が増していく幻想的な雰囲気の中でコンサートは進行していった。

 曲目は、チャイコフスキー「眠れる森の美女」より「ガーランド・ワルツ」に始まり、メンデルスゾーン「フィンガルの洞窟」、ビゼー「アルルの女」より「メヌエット」「ファランドール」、ムソルグスキー「禿山の一夜」、そしてスメタナの交響詩「わが祖国」より「モルダウ」。各曲ごとに西本自身が書いたという「詩」が、進行役の永井美奈子によって演奏前に読み上げられるという趣向もあり、クラシックにあまり詳しくなくても容易に曲の世界に入り込むことができた。

 各曲ごとの「世界」をさらに盛り上げたのが、松尾高弘による「光」のインスタレーションだ。ステージ上方の天井アーチの部分に、各曲のイメージに合わせ、さまざまな映像が映し出されていく。「ガーランド・ワルツ」では森の木々であったのが、「フィンガルの洞窟」では一転して洞窟の中にいるような雰囲気に。「アルルの女」では、恋の情念を表すかのような紅を基調とした模様、「禿山の一夜」では恐ろしい夜の森の中を必死で駆け抜けているかのよう。そして、「モルダウ」では、逆さまの木々や古城が流れていくさまが、あたかも水面に映し出される風景のようで、大河を船で下っているかのような気分にさせられた。

 黒燕尾でさっそうと登場して指揮棒を振る西本の姿にも釘付けにされながら、「なぜ西本智実の指揮はこれほどまでにカッコいいのか」について考えてしまった。ひとつの魅力はやはり、大きく優美な手の動きだろう。とりわけ、指揮棒を持たない左手がときおりサッと振り上げられるのが印象的だ。

 アンコールに選ばれた1曲は、ヨハン・シュトラウス2世のポルカ「雷鳴と稲妻」。観客も立ち上がって手拍子をし、会場中が日暮れ後の冷え込みを吹き飛ばす熱気で包まれた。「未就学児童の入場も可能」だったため、客席には子連れの家族の姿もちらほら。子どもたちも皆、楽しそうに手を叩いていた。

【西本さんのブルーレイ・DVD・CDはこちら】

【西本智実インタビュー全動画はこちら】

◆「大和証券グループPresentsイルミナートフィルハーモニーオーケストラ結成記念コンサート」
《東京公演》2012年11月2日(金)〜3日(土・祝) 上野恩賜公園野外ステージ
※公演は終了しています。

《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚関係の著作に「宝塚読本」(文春文庫)、「なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか」(小学館新書)、「なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか」(東京堂出版)。2012年11月に「ヅカファン道」(東京堂出版)を出版。Astandスターファイルでも「ヅカナビ」連載中。


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