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父・きよし役の西川忠志「こんな光栄なことはないです」

2012年12月14日

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写真:吉本百年物語12月公演「日本全国、テレビで遊ぼ」に出演している西川忠志=撮影・小林勝彦拡大吉本百年物語12月公演「日本全国、テレビで遊ぼ」に出演している西川忠志=撮影・小林勝彦

 西川きよしの長男で俳優の西川忠志が、12月7日から29日まで大阪・なんばグランド花月で上演されている「吉本百年物語」12月公演「日本全国、テレビで遊ぼ」で、西川きよし役を務めている。朝日新聞デジタルでは忠志に単独インタビューをし、役者の道に進むきっかけ、吉本新喜劇に入った理由、子どもの頃の「やすし・きよし」の印象、今回の役作りなどについて、たっぷりと語ってもらった。(フリーライター・岩瀬春美)

 子どもの頃から役者になりたいと思っていたという忠志。そのきっかけは、小学校3年生の夏休みに観た音楽劇「にんじん」だった。「大竹しのぶさんが演じられていた『にんじん』が、涙を流しながら歌うシーンに感動して、僕も舞台に立ちたいと思ったのが第1歩めです」。19歳の時、俳優としての活動をスタート。これまで舞台やテレビドラマに多数、出演してきた。

 忠志は、数多くの著名な俳優陣と共演する中で、学び取ったことがあるという。「初舞台は森繁久彌さんと一緒でした。森光子さん、山田五十鈴さん、藤山直美さん、とくにこの方々の心の中には、喜劇がありました。何かさみしいシーンでも、喜劇やコメディーを勉強された中での『哀愁』が感じられました」。そんな経験から、シリアスなものだけではなく、喜劇を勉強したいという気持ちが年々膨らんでいったそうだ。

 そんな時、せっかくやるなら吉本新喜劇で活動しないか?と誘いがあり、2009年、吉本新喜劇に入団。「ここ数年は吉本新喜劇で勉強をさせていただきながら、シリアスな舞台やドラマ、そしてバラエティー番組にも出していただき、幅を広げるチャンスをいただいています。僕は今が一番幸せです。今が一番ありがたいし、さらに前進していきたいという気持ちでいっぱいです」と忠志は大きな目を輝かせて話した。

 現在44歳。漫才師になりたいと思ったことは「ない」という。役者一筋25年、これまで地道に歩みを進めてきた。今回「吉本百年物語」12月公演で、父・西川きよし役を務めることに関しては、「こんな光栄なことは本当にないですね」と感慨深い。「とくに10人家族の一つ屋根の下で見せる素の部分は、家族にしかわからない表情があると思います。皆さんが、あれ、こういうきよしさん観たことがないと、一瞬でも感じていただけるようなお芝居ができたら」と意気込む。父からは「これがお前の代表作になるよう、心してやりなさい」と激励された。

 漫才師としての西川きよし役に関しては、身近で見ていた「やすし・きよし」の関係も、役作りの参考にしている。「僕も小さい頃、楽屋におじゃましていました。(横山)やすしさんは、ある意味とても純粋な方で、その分、喜怒哀楽が激しいところがある。そういう意味では、父が女房役に徹して、やすしさんの表情を察知していましたね。やすしさんが気持ちよく舞台に立てるよう、心を盛り立てたり、温かくしたり、と」。そうしてベストのタイミングまで持っていったところで、勢いよく舞台に出ていく。そういうお互いの距離感を、役づくりにも取り入れているという。

 本作では、やすしが事件を起こし、謹慎処分になったときの苦悩も描かれている。その場面について、忠志はこう語る。「家族には心配をかけないようにしても、やはり背中を丸めていたり、ぼーっとどこか見ているときに、ヘレンさんがきよしさんの気持ちを察して、明るく、ふっと背中に手をかけるシーンがあるんです。実際に母は家でも、子どもたちにもそういう気持ちを投げかけてくれるんですね。稽古場で、瀬戸さん(ヘレン役・瀬戸カトリーヌ)が手をかけてくださったときに、その温もりが、母そのものでした。そこは瀬戸さんの役作りですが、僕はまず息子としての気持ちを感じましたね。と同時に、父もこの温かさで母に包まれていたのかなと感じました」

 12月公演は1970年代、芸人たちが寄席の外に活躍の場を広げ、テレビの世界に進出した頃の話で、「ヤングおー!おー!」や「パンチDEデート」など大阪発で全国ネットになった番組のシーンも再現されている。「やすし・きよし」のほかにも、桂三枝(現・六代桂文枝)や中田カウス・ボタン、オール阪神・巨人などの役が登場する。「今も第一線で活躍されている師匠方がどういう青春時代を送ったのか、皆さんが横山やすしという人物をどう思っていたのか、どれだけ愛していたのかという、やすしさんへ向けるオマージュ的な作品でもあります」

 12月にふさわしい、バラエティー色豊かな内容の「日本全国、テレビで遊ぼ」。「最後には、ほろっと涙を流し、温かいものを感じていただきながら、2012年もよかったな、13年も温かい心をもって、前へ進もうという気持ちをお客様に持っていただけたら、こんな嬉しいことはありません」と忠志は語った。

【インタビュー全動画はこちら】

◆吉本百年物語12月公演「日本全国、テレビで遊ぼ」
2012年12月7日(金)〜29日(土) なんばグランド花月
⇒詳しくは、吉本百年物語公式サイトへ http://www.yoshimoto.co.jp/100th/monogatari/

《筆者プロフィール》岩瀬春美 福井県小浜市出身。人生の大半を米国ですごした曾祖父の日記を読んだことがきっかけでライターを志す。シアトルの日本語情報誌インターン、テクニカルライター等を経て、アサヒ・コム編集部のスタッフとして舞台ページを担当。2012年1月よりフリーランスのライターとして活動。


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