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インタビュー

ダメキャラと理想の夫 宝塚宙組・十輝いりす&七帆ひかる(1)

2008年10月15日

  • 取材・文:榊原和子/写真:岸隆子

写真宙組若手男役の十輝いりす(写真右)と七帆ひかる(プロフィール)

 大和悠河という若々しいトップを頂点に、今昇り調子の宙組が宝塚大劇場で新作2本を上演中だ(11月3日まで)。作品は植田景子作・演出の楽しいミュージカル『Paradise Prince』とダンスが満載のショー『ダンシング・フォー・ユー』で、2作ともに明るいイメージの仕上がり。怪我というアクシデントを乗りこえて、半年ぶりに主演娘役・陽月華も復帰する。この公演で活躍しているのが、宙組ならではの長身男役コンビ、十輝いりすと七帆ひかる。インタビューは同期生ならではの楽しい話で盛り上がった。

落ちこぼれと青春真っ盛り

── 『Paradise Prince』での、それぞれの役を説明していただけますか。
十輝いりす: 私が演じるジャックはタニ(大和悠河)さんのスチュアートが勤めることになるアニメーション会社のアニメーターで、会社のなかでいちばんやる気のない落ちこぼれが集まっている部署の一員です(笑)。
 その落ちこぼれ課をまとめようとするのがスッシー(寿つかさ)さんと美風舞良さん、あとのメンバーは早霧せいな、蓮水ゆうや、凪七瑠海、娘役の鮎瀬美都と華凛もゆる、純矢ちとせ、天咲千華の8人です。
── そんなにたくさん落ちこぼれがいて大丈夫ですか?
十輝: 大きい会社なのでいろいろな部署があり、できる人間ばかりの花形チームというのもあって、彼らが会社を支えてくれるので、いいんです(笑)。
七帆ひかる: 落ちこぼれ組はすごいよね、全員が面白い。
十輝: キャラが濃すぎてバラバラなのが面白いんだよね。
七帆: みんなむちゃくちゃだし(笑)。
十輝: 課長が「若者たち、仕事しようよ」っていうのに「やーだよ」みたいな。スッシーさん1人が空まわりして、みんな言うこと聞かない(笑)。
七帆: (笑)。
── 七帆ひかるさんの役は?
七帆: こちらは青春真っ盛りで(笑)。割と等身大に近い役なので自然にやれるなと。
十輝: えーっ?(笑)
七帆: ケヴィンという青年で、陽月華演じるキャサリンが通っていた美大の同窓生です。キャサリンは和音美桜演じるアンジェラと愛花ちさき演じるメグとルームシェアしているんですが、ケヴィンはそのメグの恋人なんです。
 この女の子たち3人の間にいろいろあって、夢に向かう上での嫉妬などが原因で友情に亀裂が入ったり、仲直りしたりする。その様子をずっと見守っているのがケヴィンで、だからセリフも気まずくなった女の子たちをフォローするものが多いし、心の優しい器の大きい青年でいることが必要なんです。
 演出の植田景子先生が、「メグはいちばんお嫁さんにしたい女の子」とおっしゃっていたので、だったらその恋人の私はいちばん旦那様にしたい男性になればいいんだなと(笑)。若々しく元気いっぱいに、溌剌と演じられたらいいなと思っています。
── 理想のお嫁さんと理想の旦那様のカップルですね。ジャックとはずいぶん違いますね。ケヴィンは夢々しくて。
十輝: こっちにもちゃんと夢があるからいいんです(笑)。
七帆: でも私たちの方もアートだけでは食べていけなくて、ほかの仕事もしているんです。私は美術の背景を描いたり。
十輝: でもなんだかんだいってもアート系の仕事で食べていけてるよね? 私たち、とくにタニ(大和悠河)さん演じるスチュアートなんて7万円の月収だし(笑)、ジャックも多分10万円くらいで、全然食べていけてないもの。
七帆: うん、そっちはたいへんそうだね。

ダメキャラから脱出

── ちょっと聞いただけでも楽しそうなミュージカルですね。
七帆: すごく楽しいですよ。
十輝: 稽古場で笑いが絶えないです。
七帆: 植田景子先生の台本が素晴らしくて、グループがあってきちんと書き分けてくださっているし、グループごとのパワーがうまく出せるんです。それに涙もあるし。
── 泣かせるのは青春グループですか?
七帆: 私たちだけでなく専科のかたが演じるグループもあります。
十輝: 落ちこぼれグループだって泣かせます。グループにスチュアートがきたことで、意識が変わって前向きになって、やる気を取り戻して頑張るようになるから。
七帆: 素敵だねー!
十輝: ハハハ(笑)。
── 落ちこぼれがクリエーターとして目覚めるんですね。
十輝: うーん、目覚め始めるというくらいかな(笑)。
七帆: そのへんは観てのお楽しみですね。
十輝: 期待してください。
── そういえば前作の『雨に唄えば』ではお2人は宣伝マンと映画監督というコンビで、あちらのダメキャラぶりからは七帆さんは今回は完全に脱してますね。
七帆: 脱しました(笑)。
十輝: 私も最終的には脱することができます(笑)。
── 『雨に…』では、一緒の場面など同期だけにすごく息が合ってましたね。
七帆: あの作品は私とまさこ(十輝)と蘭寿とむさんと天羽珠紀さんの4人だけのところは、それぞれの間でもたせなくてはいけないことが多くて、チームワークが合わないとやれない場面が多かったんです。でも練習しすぎてこなれてしまってもいけないというので、そこも考えながら。
十輝: そういう意味では本当は難しかったよね。
七帆: でもあまり打ち合わせしなくても出来てたよね。
十輝: 以前の公演(03年)は、エリコ(七帆)の映画監督役は専科のかたがやってらしたんですが、今回は全員宙組メンバーだったから、普通にしゃべったり、コミュニケーションを取ったりする中で、呼吸がわかってたところはあるね。だから本番は意外といつもスムーズに。
七帆: 普通にやれていたね。
── 七帆さんは外見もすごく凝ってましたよね。
七帆: チリチリな頭とヒゲで(笑)。ああいう役をいただいたからにはもうやるしかないと。思いきりやらないと観ているかたも気持ち悪いでしょうし、周りの個性も強いので負けてしまうので、徹底的にやるしかないと思いました。
── 十輝さんも昔、究極の役作りでは『BOXMAN』(04年)のクイズマニアのルーズベルト君がありましたよね。
十輝: あの役は本当に楽しくて緊張せずに演じていましたね。自由に伸び伸びと気負わずに、舞台にふつうに居ました。あまり笑いをとろう!!とも考えていなくて楽しかったです。いちばん忘れられない役ですね。
七帆: 笑いって狙うと取れないですよね。私たちって、なぜかショーで笑い担当にされるよね?
十輝: ほとんど毎回そうだね(笑)。
七帆: 一度、おじいさんの格好で銀橋を渡って。
十輝: あったあった。
七帆: そのときも狙いすぎると、お客様はシーンとする。真面目にちゃんとやると笑ってもらえるのがよくわかった。だから笑いは泣かせるのよりも難しいって言われるのもよくわかります。

インタビュー(2)へ続きます。

◆ミュージカル『Paradise Prince』 モダンアート界で若くして成功を収めたスチュアート(大和悠河)には大きな夢があった。それはアニメーション作家になり、子供の頃から描き続けているキャラクター「Paradise Prince」を、テレビシリーズとして世に送り出す事。スチュアートは、夢に向かってゼロから始めようと、アニメーション会社で働き始める。だが彼を待っていたのは、厳しい下積みの生活だった。そんな中、スチュアートは美大生のキャサリン(陽月華)と出会う。作・演出:植田景子

◆グランド・レビュー『ダンシング・フォー・ユー』 エネルギッシュなダンスが中心のレビュー。作・演出:中村一徳

《宝塚大劇場公演》:9月26日(金)〜11月3日(月)(詳しくは宝塚歌劇団公演案内へ)/《東京宝塚劇場公演》:11月21日(金)〜12月27日(土)(詳しくは宝塚歌劇団公演案内へ

☆十輝いりす(とき・いりす):2月17日生まれ、東京都出身。99年「ノバ・ボサ・ノバ」で初舞台。宙組に配属。身長178cm。愛称「まぁ」「まさこ」。
☆七帆ひかる(ななほ・ひかる):11月18日生まれ、茨城県出身。99年「ノバ・ボサ・ノバ」で初舞台。身長175cm。愛称「えりこ」。


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