花組の人気男役スター大空祐飛が異色作『銀ちゃんの恋』に挑んでいる。つかこうへいの「蒲田行進曲」をミュージカル化した本作は、96年に月組で久世星佳主演で上演され、「宝塚に新風を吹き込んだ」と大きな話題になった。個性派揃いの花組メンバーたちと、ふだんの宝塚の舞台とは一味も二味も違う、熱い稽古に励む大空に話を聞いた。
(→インタビュー(1))
濃いキャラのメンバーたち
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── 短距離走の稽古場では、ヤスや小夏も一緒に走っているわけですね。
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走ってくれています(笑)。今回の出演者は本当にキャラクターの濃いメンバーが揃ってるんですよ。石田先生が初めに「珍芸奇芸大歓迎」とおっしゃったんですけど(笑)、ふだんの宝塚の舞台では絶対にできないような奇抜なこともやってみせないといけないんです。でもみんな軽くクリアするんですよ。
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── すごいですね。芸達者揃いなんですね?
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今回は宝塚では珍しいタイプの芝居ですし、かなり過激だと思うんですけど、それをみんな臆することなく飛び込んでやってしまうし、しかも楽しんで生き生きしているんです。それはやはり台本が面白いからだと思います。真剣な場面はみんな真剣に見てるし、明るい場面になると一気にテンションがあがるし、稽古場全体が流れに乗ってるから、主演させてもらう側としてはありがたいですね。
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── 濃いキャラがいろいろやっても許される芝居というか、邪魔にならないわけですね。
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全然邪魔になりませんし、みんなが濃いので、普通にしてるほうがつまらないくらいです(笑)。これからさらに中身を作っていく段階なんですけど、非常にみんな工夫して楽しんでいます。先日、スチール撮りがあったんですけど、それぞれが扮装した姿を見ただけでも面白くて(笑)、こんな個性派揃いでいいんだろうかと思うくらい(笑)。ヤスも小夏も、まさにイメージ通りにはまってます(笑)。
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── 小夏は野々すみ花さんですね。『舞姫』でのヒロインが好評でしたね。
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まだ下級生ですが芝居心を持っている人です。小夏って宝塚の娘役にしたらとても難しい役だと思うんですよ。お腹が大きくなったり、日常では経験しないこともやらなくてはいけないし。でも、芝居心のある人ですから心配ないと思っています。
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── 銀ちゃんはひどいことを言うんですよね。
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若さがなくなって売れなくなってきた女優さんという設定ですから、そのへんのことをひどい言葉で(笑)。すみ花には「体当たりできてほしい」と最初に伝えたんですけど、お互いにエネルギーを出し合うところから始めて、ちゃんとぶつかり合いたいと思っています。
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── つか作品は愛憎の表現が宝塚ではあり得ないことばかりですからね。だいたいヤスに小夏を押しつけるなんて、銀ちゃんはひどいですから(笑)。
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でも「ヤスだと安心なんだよ」というセリフがあって、銀ちゃんなりに考えてはいるんですよ(笑)。結局3人とも周りから見たらおかしなことをしてるんですけど、実は映画を成功させたいということでは共通しているんです。みんな映画のために動く人たちであるということを、石田先生もおっしゃっていて、結局は映画を愛してるというのが底にあるんですね。そして映画から離れられない。この作品って、依存についての話でもあると思うんですけど、ヤスにしても殴られて嫌なら離れればいいのに離れない。銀ちゃんも殴ったり蹴ったりしながらもヤスがいないとダメで、小夏もそれは同じで、3人が依存し合ってる関係なんだと思います。