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インタビュー

銀ちゃんとヤスと小夏の関係 宝塚花組・大空祐飛(2)

2008年10月3日

  • 取材・文:榊原和子/写真:岸隆子

写真宝塚歌劇団花組男役大空祐飛(プロフィール)

 花組の人気男役スター大空祐飛が異色作『銀ちゃんの恋』に挑んでいる。つかこうへいの「蒲田行進曲」をミュージカル化した本作は、96年に月組で久世星佳主演で上演され、「宝塚に新風を吹き込んだ」と大きな話題になった。個性派揃いの花組メンバーたちと、ふだんの宝塚の舞台とは一味も二味も違う、熱い稽古に励む大空に話を聞いた。

→インタビュー(1)

濃いキャラのメンバーたち

── 短距離走の稽古場では、ヤスや小夏も一緒に走っているわけですね。
 走ってくれています(笑)。今回の出演者は本当にキャラクターの濃いメンバーが揃ってるんですよ。石田先生が初めに「珍芸奇芸大歓迎」とおっしゃったんですけど(笑)、ふだんの宝塚の舞台では絶対にできないような奇抜なこともやってみせないといけないんです。でもみんな軽くクリアするんですよ。
── すごいですね。芸達者揃いなんですね?
 今回は宝塚では珍しいタイプの芝居ですし、かなり過激だと思うんですけど、それをみんな臆することなく飛び込んでやってしまうし、しかも楽しんで生き生きしているんです。それはやはり台本が面白いからだと思います。真剣な場面はみんな真剣に見てるし、明るい場面になると一気にテンションがあがるし、稽古場全体が流れに乗ってるから、主演させてもらう側としてはありがたいですね。
── 濃いキャラがいろいろやっても許される芝居というか、邪魔にならないわけですね。
 全然邪魔になりませんし、みんなが濃いので、普通にしてるほうがつまらないくらいです(笑)。これからさらに中身を作っていく段階なんですけど、非常にみんな工夫して楽しんでいます。先日、スチール撮りがあったんですけど、それぞれが扮装した姿を見ただけでも面白くて(笑)、こんな個性派揃いでいいんだろうかと思うくらい(笑)。ヤスも小夏も、まさにイメージ通りにはまってます(笑)。
── 小夏は野々すみ花さんですね。『舞姫』でのヒロインが好評でしたね。
 まだ下級生ですが芝居心を持っている人です。小夏って宝塚の娘役にしたらとても難しい役だと思うんですよ。お腹が大きくなったり、日常では経験しないこともやらなくてはいけないし。でも、芝居心のある人ですから心配ないと思っています。
── 銀ちゃんはひどいことを言うんですよね。
 若さがなくなって売れなくなってきた女優さんという設定ですから、そのへんのことをひどい言葉で(笑)。すみ花には「体当たりできてほしい」と最初に伝えたんですけど、お互いにエネルギーを出し合うところから始めて、ちゃんとぶつかり合いたいと思っています。
── つか作品は愛憎の表現が宝塚ではあり得ないことばかりですからね。だいたいヤスに小夏を押しつけるなんて、銀ちゃんはひどいですから(笑)。
 でも「ヤスだと安心なんだよ」というセリフがあって、銀ちゃんなりに考えてはいるんですよ(笑)。結局3人とも周りから見たらおかしなことをしてるんですけど、実は映画を成功させたいということでは共通しているんです。みんな映画のために動く人たちであるということを、石田先生もおっしゃっていて、結局は映画を愛してるというのが底にあるんですね。そして映画から離れられない。この作品って、依存についての話でもあると思うんですけど、ヤスにしても殴られて嫌なら離れればいいのに離れない。銀ちゃんも殴ったり蹴ったりしながらもヤスがいないとダメで、小夏もそれは同じで、3人が依存し合ってる関係なんだと思います。

写真『銀ちゃんの恋』より

── そういう人間の根本にある問題を、つか作品はうまくあぶり出すんですよね。
 だからみんなすごく個性的だけど人間的で、普通にわかる感情なんです。まあ、銀ちゃんはちょっと特殊かもしれないですけど(笑)。でも私は人間として魅力を感じるし、突拍子もないことをしているわりには、どこか共感できる人間だなと思います。
── 祐飛さんが、すごく内容に踏み込んでいるので、それが舞台に反映するのがとても楽しみですね。
 やはり、お話が映画に命をかけている人たちのドラマですからね。私たちも同じように舞台に命をかけてるところがあるから、その情熱がすごくわかるんです。ですから魂を込めてやりたいと思っています。

180度違う顔を

── そういえば、祐飛さんは、『THE LAST PARTY』は作家のスコット・フィッツジェラルドで、『HOLLYWOOD LOVER』は映画監督、今度は映画俳優と、表現者・創作者のような役が多くて、どこか呼び寄せる部分があるのかもしれませんね。
 確かに単独で主演した作品は全部そうですね。すごく面白いなと思うのは、『HOLLYWOOD LOVER』も映画の話で、この『銀ちゃんの恋』も舞台上にカメラがあってディレクターチェアがあって、そこに座っていたりするんですが、シチュエーションと役柄があまりにも前回と違うのが自分でもおかしくて(笑)。
── つかさんとの座談会でも「180度違う自分を見せたい」と言ってましたね。
 まさにそういう形になってますので、自分自身もこの作品をとても楽しみにしています。

◆『銀ちゃんの恋』 82年に直木賞受賞、映画も大ヒットしたつかこうへい作「蒲田行進曲」をミュージカル化。96年、月組の久世星佳、風花舞、汐風幸らにより上演され、宝塚歌劇としては異色の作品ながら大好評を博した。スターの銀ちゃんから、妊娠した恋人の小夏を押し付けられた大部屋俳優のヤスだが、銀ちゃん主演の映画のため斬られて階下に落ちる役をかってでる。潤色・演出:石田昌也

《梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演》:10月3日(金)〜10月15日(水)(詳しくは宝塚歌劇団公演案内へ)/《日本青年館大ホール公演》:10月20日(月)〜10月27日(月)(詳しくは宝塚歌劇団公演案内へ

☆大空祐飛(おおぞら・ゆうひ):6月22日生まれ、東京都出身。92年「この恋は雲の涯まで」で初舞台。月組に配属。08年花組に組替え。身長170cm。愛称「ユウヒ」。


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