「源氏物語」の千年紀という節目の年に上演される『夢の浮橋』は、全54帖のうち最後の10帖である「宇治十帖」をアレンジしたもの。美しい女性・浮舟をめぐって、匂宮と薫の君が争い、それを嘆いた浮舟の入水によって物語は終わる。そんな愛の悲劇『夢の浮橋』で、主役の匂宮を演じる月組主演男役の瀬奈じゅんに、今回の作品への取り組みを聞いた。
憎めないプレイボーイ
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── 「源氏物語」では、以前、夕霧を演じていらっしゃいましたね。
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花組時代の『源氏物語 あさきゆめみし』(01年)でした。
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── 今回は匂宮ですが、どんなイメージを考えていますか?
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たとえば映画などでも匂宮が主役のものはほとんどないんです。あったとしても描かれかたがプレイボーイ的な部分を強調することが多いし、なぜそういう人になったのか詳しく書かれていないんです。それでどう演じたらいいのか作・演出の大野拓史先生にお聞きしたら、「プレイボーイでいろいろな女性を渡り歩いているけれど、それでもみんなから好かれている。その憎めない部分を出してほしい」ということでした。私はあくまでも大野先生の描かれる匂宮を演じたいと思っていますから、おっしゃることを頭において、匂宮の光と影を出していけたらと思っています。
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── 浮舟への思いはどんなふうに解釈していますか?
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匂宮は紫の上に育てられていますから、光源氏のしていることで苦しむ紫の上を見ていますし、また紫の上が死んだあと抜け殻のようになってしまった光源氏も見ています。ですから匂宮は、人を愛することによってこういうふうに苦しむこともあるんだ、愛することでこういう姿になってしまうんだ、こういう罪も降ってくるんだ、という思いを抱いてしまうし、本当の恋に対して恐れを抱いてしまうんです。そのせいで深く人を愛することや深く関わるということを避けて生きてきたと思います。それが浮舟と出会って、覚悟を決めて、自分のもとに迎え入れたいと思う。そこまで愛した初めての女性が浮舟だったのだと思います。また、その始まりは、薫が浮舟を愛していると知ったから興味を持ったわけで、そんな人間くさい感情もうまく表現できたらいいなと思っています。
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── 匂宮は好奇心が強い人かもしれませんね。それによって他人を傷つけてしまうくらいに。でもそういう人だからこそ、みんなが惹きつけられるのも分かるような気がします。
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そうですね。そういう匂宮の魅力的な部分を、うまく出していけたらいいなと思っています。
四季に重なる女性像