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ステージレビュー

宝塚次世代男役ガイド(2)雪・星・宙組編

2009年1月22日

  • ライター・佐藤さくら

写真拡大宝塚雪組の凰稀かなめ=「忘れ雪」より、撮影・岸隆子

写真拡大宝塚雪組の緒月遠麻(右)=「忘れ雪」より、撮影・岸隆子

写真拡大宝塚星組の紅ゆずる(左)=「ブエノスアイレスの風」より、撮影・岩村美佳

写真宝塚星組の真風涼帆=「ブエノスアイレスの風」より、撮影・岩村美佳

写真宝塚宙組の悠未ひろ=「パラダイス・プリンス」より、撮影・小林勝彦

写真宝塚宙組の七帆ひかる(中央)=「パラダイス・プリンス」より、撮影・小林勝彦

 続いて雪組は、同期ながら正反対の色をもつ凰稀かなめと緒月遠麻。今年研10になる若手ながら、本公演ですでにそれぞれ重要な役を任されている。白と黒、クールとホットなどコンビとして立つことで、いわゆる“キャラ立て”が明確になっていることも大きい。舞台の押し出しはすでに充分なので、あとは個々としてどこまで客席に伝えるすべをもつかが勝負どころ。
 さらに、トップの水夏希率いるAQUA5でも活躍中で、アイドル性のある彩那音、独特の色気と温かみのある演技力の沙央くらまも要チェックだ。

 4月末をもってトップコンビが退団する星組は、若手スターの和涼華と麻尋しゅんまで突然の退団を決めたとあって、まさに激動の渦中。
 一方、昨年『スカーレット・ピンパーネル』の新人公演でシリアスと3枚目の両面をもつ主人公を演じきり、一躍時の人となった紅ゆずるや、『マイ・ディア〜』で新人公演初主役を射止めた真風涼帆など、伏兵が続々登場。濃い男役らしさが見ていて楽しい彩海早矢や、長身できびきびと踊る夢乃聖夏など、今では少数派の“タカラヅカらしい男役”が堪能できるのが星組だ。組が育むカラーの大切さを感じる一瞬である。

 最後に宙組。劇団一の長身に風格が備わり、昨年の『巴里祭』では豊かな歌声を披露した悠未ひろ。求められる役どころに的確に応える勘の良さは貴重だ。また七帆ひかるも従来の演技力に男役の艶が加わり、ゲーム作品の舞台化である2月のバウ『逆転裁判』での活躍が注目される。
 他に、現代風の美形で、芝居・ショーともに重要なポジションで活躍中の十輝いりす、青年期特有の輝きとあやうさを備える伸び盛りの早霧せいななど、期待の男役が豊富。月組の次回公演『エリザベート』のシシィ役に抜擢された凪七瑠海も宙組である。

 新陳代謝を宿命とするだけに、充実して退団するトップスターがいれば、惜しまれつつ辞める若手スターもいるのが宝塚。時代の要求と劇団の意向で表層が変化するのは舞台芸術の常ではあるが、同時に出演者と観客双方のフィードバックでもって、唯一無二の舞台空間を生み出してきたのも宝塚だ。その意味で、役者の適正な起用を望む観客の声を無視しては、新たな時代を築くことも難しいのはもちろんだろう。宝塚は今、岐路に立っているように思う。

※1月22日、宝塚歌劇団の公式HPで、組替えが発表された。雪組の凰稀かなめが4月14日付で星組へ、宙組の早霧せいなが2月24日付で雪組に異動する。


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