ニューヨークで15日、第62回トニー賞のミュージカル部門で作品賞を受けた「イン・ザ・ハイツ」の主演俳優リン=マニュエル・ミランダ=AP
15日夜(日本時間16日午前)に決まった米演劇界のトニー賞では、ラテン系移民の街を描いたミュージカル「イン・ザ・ハイツ」が作品賞など4部門を受賞。演劇ではピュリツァー賞も受けたトレイシー・レッツ作の家族劇「8月のオーセージ郡」が作品賞など5部門を占めた。
新作ミュージカルでは巨額の制作費を投じた大作を押しのけ、オフ・ブロードウェー発の「イン・ザ・ハイツ」「パッシング・ストレンジ」が多部門にノミネート。だが最多の7部門を制したのはリバイバル作品賞の「南太平洋」で、名作の力をあらためて発揮する形となった。
ニューヨーク在住の演劇プロデューサー、仙石紀子さんは「『南太平洋』の楽曲はやはり魅力的。古い作品をきちんと作り直し、現代の観客に提示できるのはブロードウェーの懐の深さ」と話す。新作では若い才能に光があたった。「ラテン系やアフリカ系の新鋭が今後、『レント』や『ヘアー』のような時代を画する作品を生みだせるかが注目されます」
他の主な賞は次の通り。
■ミュージカル 主演男優=パウロ・ショット(南太平洋)▽同女優=パティ・ルポン(ジプシー)▽演出=バートレット・シャー(南太平洋)
■演劇 リバイバル作品=ボーイング・ボーイング▽主演男優=マーク・ライランス(ボーイング・ボーイング)▽同女優=ディアナ・デュナガン(8月のオーセージ郡)▽演出=アンナ・D・シャピロ(同)
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「イン・ザ・ハイツ」は、中南米からニューヨークへ渡ってきた移民らの苦難と夢を描く。歌とダンスで異郷に生きる熱い活力を表現し、ノリのよさでは逸品だった。
大学に進学したが奨学金を打ち切られた娘とアフリカ系青年との恋。地区外に転居したい、美容室に働く女性。宝くじに当たった直後に急死する移住世代のおばあさんなど、悲喜こもごものドラマがつづられる。
移民の絆(きずな)の強さと閉鎖性も描かれる。野心と経済的事情で住民は散り散りに。マイノリティーが時代の波に追われる姿を描いた「屋根の上のバイオリン弾き」に通じ、貧しくも懸命に生きる群像を活写した点で96年の作品賞「レント」とも重なる。
作詞・作曲・主演のリンマヌエル・ミランダは28歳で、これがデビュー作だ。(小山内伸)