奥野衆英(左)と市瀬詩子=小田光氏撮影
今夏の南仏アビニョン演劇祭の自主参加(オフ)部門に、パントマイムの巨匠、故マルセル・マルソーの教え子でパリ在住の奥野衆英(しゅう)(32)が挑む。自ら創作した「バイオリン弾きの娘と椅子(いす)の精」。バイオリニストの市瀬詩子(うたこ)(27)との2人劇だ。
奥野演じる「椅子の精」は戦死した天才バイオリニスト。ついえた夢を託すかのように、弾く意味を失いかけた市瀬演じる「娘」に奮起するよう仕向ける。言葉のないマイムの世界。感情の高まりや揺れは、マルソー譲りの身のこなしと市瀬が奏でる音で表現する。
「戦争で失われたすべての才能へのオマージュ」と奥野。昨年、南仏アルビの国際演劇祭で最優秀作品賞と最優秀男優賞を受賞した。
東京出身の奥野が、マルソーのマイム学校の門を叩(たた)いたのは00年。「マイムは客に想像力を強いる。一つの話は10分以内に」と習ったが、今回の作品は60分。「メリハリある展開を徹底すればマルソーも納得してくれるのでは」。その師匠は昨秋、死去。「見てほしかった」
市瀬は長崎出身。日本でプロ演奏家を志したが挫折。2年のブランク後、04年からパリの音楽学校に留学した。校内掲示板で娘役を募集する奥野の広告を見て応募。「弾いて演じられる女優としての自分の可能性を見つけた」と話している。
10日から8月2日まで、午後4時半、THEATRE GOLOVINE。15ユーロ(約2500円)。問い合わせは桜文月社(mail@obungessha.com)。(パリ=飯竹恒一)