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新国立劇場研修所の1期生、プロ俳優へ 井上作品で船出

2008年8月14日

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写真「闇に咲く花」に出演する左から高島玲、北川響、眞中幸子

 新国立劇場の演劇研修所で3年間学び、今春修了した1期生15人が、プロの俳優として歩み始めた。税金で育てられた初めての舞台俳優たち。このうち3人が、15日開幕のこまつ座公演「闇に咲く花」に出演。恩師の研修所長・栗山民也の演出で、井上ひさしの戯曲に挑む。(藤谷浩二)

 「実践の場で真の勉強を始めた彼らに、井上さんの強度のある日本語にまずぶつかってほしかった」と栗山。旅公演を含め2カ月半という長い上演期間。「全国の観客や劇場を知ることは、演劇の力を体感する契機になると思う」

 87年初演の「闇に咲く花」は井上の代表作のひとつ。敗戦2年後の東京・神田。神主(辻萬長)の下に戦死したはずの息子(石母田史朗)が復員してくる。名投手でもある彼の運命を軸に、神社と庶民の戦争責任を問う喜劇だ。

 巡査役の北川響は文学座付属研究所を経て入所し、2月の修了公演で主要な役を演じた。「今の自分は試用期間だと自覚している」と話す。お面工場で働く女性を演じる高島玲は中学から大学まで演劇一筋。「今は研修所でもらった種を焦らず育てたい」。高校を卒業してすぐ入所した最年少の眞中幸子は子守の少女役だ。「未熟でフワフワしていた私が、いつか何かを伝えられる人間になれたら」

 研修所は05年春、東京・初台の劇場からやや離れた西新宿の廃校利用施設「芸能花伝舎」内に開かれた。「NNTドラマ・スタジオ」の愛称を持つ。演劇部門芸術監督だった栗山が「世界に通用する俳優を育てたい」と奔走し、オペラ、バレエ部門の研修所を追う形でつくられた。

 国立劇場の歌舞伎や文楽の研修生とは異なり、定期的な出演の場を得られる保証はない。一部は所属事務所が決まったが、フリーで活動する修了生のため、「NNTアクターズ」として、研修所がマネジメントを支援する。

 研修所長としての栗山は、出会いの場を設けることにこだわる。井上もサポート委員として講義や助言を続けてきた一人だ。栗山は言う。「俳優がいないと演劇は始まらない。舞台の上で奇跡を起こせる俳優に出会いたい。その一心でつくった機関です」

 共演は浅野雅博、小林隆、藤本喜久子ら。東京は31日まで新宿・紀伊国屋サザンシアター。5250円。こまつ座(03・3862・5941)。

    ◇

 研修所2期生が出演する朗読劇「少年口伝隊一九四五」(井上作、栗山演出)も9月に上演される。16日、新国立劇場小劇場。21日に水戸、23日に山形でも。研修所(03・5352・5770)。

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