「新しい自分を探したい」と語る上野水香=東京都内
東京バレエ団は今月中旬、バレエ界の貴公子として人気を誇るマラーホフとルグリを招き、5組のペアによる「ジゼル」を東京・五反田のゆうぽうとホールで上演する。中でも注目されるのが、同バレエ団の高岸直樹と組んでこのロマンチック・バレエの名作に初挑戦する上野水香。「美しい様式感を身につけ、バレエ人生の新しいステップにしたい」と意気込む。(上坂樹)
上野と言えば、「ドン・キホーテ」や「眠れる森の美女」などに見るように、170センチの長身を生かした伸びやかな踊りと無垢(むく)な演技が持ち味。「ジゼル」では一転、浮遊感に富み、かつ抑制の利いた踊りや演技が要求される。
「動きに確かな型があり、それ以上でもそれ以下でもない微妙な表現の幅が求められる。体を横長に保ちつつ前にラインを広げていく動きも、どれほど柔らかみを出せるかが勝負だと思う」
男の裏切りによるショックで死に、妖精になっても男をけなげに守り通すキャラクターを、「ピュアな心の極み」と受け止める。
「私は大柄なせいか、病弱な村娘とは遠い性格と思われるけど、本当は強気とは無縁の内気な性格。ジゼルは古いタイプの日本女性に通じる部分があって、共感を覚える」という。
子供の時、森下洋子がヌレエフと「ジゼル」を踊ったビデオを見て感激。今回も改めて見直し、触発された。「軽やかな動きの中で演技にも無理がなく、感動が自然に伝わってくる。私にとって理想のジゼルの一つ」と語る。
牧阿佐美バレヱ団から東京バレエ団に移って4年半。クラシックバレエでは「白鳥の湖」「ドン・キホーテ」などで進境を見せた。一方、現代バレエでは、「ボレロ」でのソロのほか、「ザ・カブキ」「バクチ3」などベジャール作品で様々な新しい表現を体験した。
特にベジャールについては、「音楽とどう向き合うかを教えてくれた」と、影響の大きさを語る。
「彼の振り付けには、強烈なイメージを発散する中に、フッと息を抜く場面がある。音楽への鋭い感覚があるからで、この強弱の差が作品にメリハリを付けていることが、舞台の体験を通してわかるようになった」
上野・高岸組は13日午後1時から。その他は11日午後7時(小出領子、マラーホフ)、12日午後7時(斎藤友佳理、ルグリ)、13日午後6時(吉岡美佳、マラーホフ)、14日午後3時(斎藤、ルグリ)、15日午後3時(吉岡、マラーホフ)、16日午後7時(小出、ルグリ)。
問い合わせは電話03・3791・8888(日本舞台芸術振興会)。