パリを拠点に活躍する舞踏カンパニー「山海塾」が国内7都市を巡演する。北九州と東京で新作「降(ふ)りくるもののなかで――とばり」を国内初演するほか、2作品を6都市で再演する。シンプルな舞台美術とゆったりとした舞踏で、観客を深遠な宇宙へいざなう。(佐々木達也)
■「時間や空間に浸らざるを得ない」
昨年、朝日舞台芸術賞グランプリを受賞した「時のなかの時――とき」に続き、新作もパリ市立劇場と北九州芸術劇場の共同制作。北九州と東京で上演される。
「とばり」では、舞台後方からは約6600もの星の光が降り注ぎ、舞台上に設けられた楕円(だえん)体からも約2200個のはかない光がまたたく。8人のダンサーは楕円体の内部や周縁を舞い、ときには楕円体を無視もする。7場面で構成されるが、暗転をはさまず、展開は緩やかだ。5月にパリ市立劇場で世界初演した際、ルモンド紙は「宇宙のダンス」と絶賛した。
カンパニーの主宰で、演出・振り付け・デザインの天児(あまがつ)牛大(うしお)は、「招いているわけではないが、引き受けざるを得ないものごとがある。時間や空間に浸らざるを得ないことを大きなテーマとした」と語る。たとえば星の光は数万年前に起きたことが、今の瞬間の光として届く。季節や昼夜の変化も引き受けざるを得ない。人間の関係から生じる感情などもそのひとつという。
楕円体を核にすえた舞台美術については「楕円にはふたつの中心がある。生と死、喜と悲、美と醜などと、両義的なひとつのあり方としてとらえてもいい」と話す。
舞台装置はシンプル。上演時間も従来に比べ、多少短くした。「丁寧に、緊張感を伴って作品を作っていくと、余分なものは張り付けられない。集中や緊張から見えてくるものを大事にしたい」
巡回公演では、新作「とばり」のほか、前作「とき」と「かがみの隠喩(いんゆ)の彼方(かなた)へ――かげみ」も上演される。公演日程は次の通り。
福岡・北九州芸術劇場=20・21日(とばり)▽熊本県立劇場=24日(とき)▽滋賀・びわ湖ホール=27・28日(とき)▽東京・世田谷パブリックシアター=10月1〜5日(とばり)、10〜13日(とき)▽高知市文化プラザ=同18日(とき)▽神奈川・グリーンホール相模大野=同25日(かげみ)▽長野・まつもと市民芸術館=11月1日(とき)。問い合わせは各劇場。