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円熟味が放つ輝き カワード「私生活」に出演、寺島しのぶ

2008年9月19日

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写真寺島しのぶさん=郭允撮影

 あでやかな深紅のドレス姿。さっぱりした物言いと明るいユーモア。そして、ただそこにいるだけで周りの注目をひきつける存在感。

 20世紀の英国を代表するだて男の劇作家ノエル・カワードも、自身の代表作「私生活」に彼女が出演することに、さぞや満足しているのではないだろうか。今の寺島しのぶには、人生を謳歌(おうか)する女性の生命力と、俳優として充実した技量の双方が備わっているのだから。

 「男と女が、端から見たら小さなことで始終ギャーギャーやっている。どうしようもなくひかれ合う人々って、バカらしいけど、とてもいとおしい」

 寺島演じるアマンダは、再婚相手(橋本じゅん)との新婚旅行で来たリゾート地のホテルで元夫エリオットと偶然、再会する。やはり新妻(中嶋朋子)と新婚旅行中だったエリオットとアマンダの恋は再燃。2人は再婚相手を置き去りにしてパリのアマンダのアパートへ向かう。

 愛の巣のはずのアパートで激しいケンカを繰り返す2人が見ものだ。エリオット役の内野聖陽は、寺島が96年まで在籍した文学座の同期生。「研究所の試験や発表会でどんぐりの背比べをし、憎まれ口をたたき合った“犬猿の仲”。100%の力でぶつかりますよ」と笑う。

 数多くの映画賞や演劇賞を手中にした後も、守りの姿勢とは無縁だ。この夏放映されたテレビドラマ「四つの嘘(うそ)」では、見合い結婚した41歳の平凡な主婦という、実年齢やこれまで演じた役柄から遠く離れた女性を演じた。

 「台本を一読し、その役を愛せたら、たとえどんな人物でも演じたくなる。いい意味で見る人を裏切る、不安定な女優でいたい」。そんな思いを現実に変えてきたのが、確かな観察眼に基づく演技力だ。この人はどんな歩き方や表情をするのか。私生活でも、役と印象が重なる友人や街の人のしぐさをつい見つめてしまう。実はこれ、生まれ育った歌舞伎の尾上菊五郎家に伝わる役作りの方法でもある。代々の菊五郎は市井の人々を注視し、そのたたずまいを活写する世話物の芸を確立させた。

 昨年フランス人の夫と結婚。世界はさらに広がった。「気の強いアマンダ役は夫の友達を参考にした。夫婦の実感もわかるし、結婚してラッキーでした」

(文 ・藤谷浩二、写真・郭 允)

    ◇

 てらじま・しのぶ 1972年生まれ。舞台「書く女」「ヴェニスの商人」、映画「赤目四十八瀧心中未遂」「愛の流刑地」など出演多数。「私生活」(ジョン・ケアード演出)は10月3〜31日、東京・シアタークリエ。その後、名古屋や大阪でも上演。

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