夏に歌舞伎「愛陀姫」を上演。「東西がクロスした年」と野田秀樹
野田秀樹が英語で戯曲を書き、6月にロンドンで英国の俳優とともに初演した「The Diver」が26日から10月13日まで、東京・三軒茶屋のシアタートラムで上演される。野田は「向こうのお客さんにおもねらず、自分のやりたいことをやれた」と語る。
「素材をパッパッと取ってきて強引に串を通す。20代のころ、劇団でやっていたものに似ている」と言うが、そこには演劇的なたくらみが満ちている。能楽「海人」と「源氏物語」に登場する六条御息所や葵の上ら、いにしえの女性の心のうごめきと、愛憎の果ての事件で、渦中にある現代女性の心理が多層的に交錯する。世田谷パブリックシアターが企画する「現代能楽集」シリーズの第4作でもある。
「英語で能の原作や『源氏物語』を読むと、こんなことかとよくわかる」。異文化の中で日本の古典を見つめ直すことで、新たな視座が生まれた。「六条御息所の魂が生きたまま浮遊し、他人をとり殺す。そこから魂の問題に行き着いた。西洋には精神分析があるが、日本では一般的ではない。宗教や思想や哲学が失われ、すがるもののない若い人たちが病んでいく」
昨年の演劇界の話題をさらった「THE BEE」に出演したキャサリン・ハンターら3人の英国人俳優と演出・出演の野田がワークショップを重ねて上演するスタイルは前作と同じだ。
あえて、いくつもの解釈を許す物語を投げかけた。「一義的にならないのが演劇の面白さ。わかりやすいことが大好きな国になってしまった日本で、どう受けとめられるか楽しみ」
コリン・ティーバン共同脚本。電話03・5432・1526(劇場)。