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中国の新京劇女形、ウー・ルーチン 悲願は日中の懸け橋

2008年10月17日

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写真ウー・ルーチン

 長い袖をひらめかせながら、金色に輝くような高音の声が自在につむがれる。中国の新京劇女形、ウー・ルーチンの舞台だ。楊貴妃、織姫、宋慶齢など、伝説上の姫から歴史的な傑物まで、中国の女性を富貴な祝祭性と慈愛を込めて描き続ける。今年は、日本人の妻と結婚し、日本に拠点を置いて20年の節目にあたる。「悲願は日中の懸け橋です」と語る。

◆日本を拠点に20年

 今年12月、中国史上、唯一の女帝とされる則天武后を題材にした新京劇が、北京で上演される。自ら考案し、主演。来年2月には東京、名古屋、大阪、福岡などを巡る予定だ。「これまで中国では、主役になりにくかった存在ですけど、忘れてはならない偉大な女性です」

 63年、中国・南京で京劇スターの家に生まれた。84年に中国戯曲学院を首席で卒業し、中国京劇院に。伝統京劇特有の楽器・京胡の第一人者となったが、10代後半のころ、「演奏しながら歌ってみたら、女形の声が自然と出た」そうだ。

 その後、この楽器を京劇から独立させ「京胡軽音楽」と題してインストゥルメンタルの新曲を発表。88年には動植物研究家だった陶山昭子さんと結婚した。「運命的な出会いでした。あっこは私より21歳年上なのですが、そんなことは関係なかった」。01年には「新京劇」というジャンルを打ち立てた。最初の作品は自らの原案による「楊貴妃と阿倍仲麻呂」。楊貴妃役を演じた。

 新京劇は、まず扱う題材に特徴がある。伝統的京劇は「三国志」「西遊記」などに典拠し、武将の派手な立ち回りや武勲に絡む歌などが目立つ。

 一方、新京劇は女性に光を当て、流麗な動きや歌が前面に出てくる。中国を彩った女性をいわば再評価してよみがえらせる効果すら持つ。

 「特徴的なドラもほとんど使わず、バイオリンなどを使います。様々な地域、流派の旋律も部分的に援用していますが、どれにも限定されない工夫も加えています」

 ルーチンは07年に織姫彦星伝説による「七夕物語」、今年、中国・台湾問題など政治上の理由から舞台化がタブー視されてきた「宋家の三姉妹」などを次々と新京劇化。日中で上演してきた。

 今秋、安藤俊介氏が著したノンフィクション『もし風が見えるなら〜ルーチンとアキコ 21歳の年齢差を超えて』(ポプラ社)が刊行された。「手前みそですが、改めてあっこは本当によくできた人物だ、と痛感しますね。『日本』という要素が、私の作品の独自性を支えている。活動のすべては、日中友好につながっているのです」(米原範彦)

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