鹿賀丈史(左)と市村正親
山田和也
同性愛に家族愛を織り交ぜた人気ミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」が、東京・日比谷の日生劇場で上演されている。主役のゲイクラブのスターは市村正親(59)、相手役の経営者は鹿賀丈史(58)。日本を代表する2人のミュージカル俳優を、演出家の山田和也はどうさばいているのか。
ジョルジュ(鹿賀)の一人息子が突然結婚を宣言し、相手の両親が会いに来ることに。ジョルジュと同居するザザ(市村)が母親に扮して切り抜けようとするが……。
山田は「稽古(けいこ)を大切にし、相手役との関係の中で役を作っていく。いつまでたってもまじめな演劇青年という感じ」と2人の共通点を語る。
また、「以前からザザを演じていた市村さんは私生活で父親になったことで、情感がさらに豊かになった。鹿賀さんは華やかなイメージとは反対の明るくチャーミングな部分もある。そこをうまく出したい」という。「実年齢が役に近くなった。男のなまめかしさとたそがれ感があって、ちょうどいい年齢ですね」
「市村の演じるザザ、最後の舞台」がうたい文句だが、「鹿賀さんが予期しないタイミングで女らしい反応をすることが多々あった。市村さんの役と入れ替えた舞台も、ファンとして見てみたい」。
山田自身も、子供ができてから明るく楽しい舞台を手がけたい気持ちが強くなったという。「演劇は楽しいもの。ショービジネスの職人で終われたら、こんな幸せはない」と、エンターテインメント演劇への意欲をみせる。
出演はほかに島谷ひとみ、山崎育三郎、真島茂樹ら。28日まで。1万2600〜3150円。ホリプロチケットセンター(03・3490・4949)。1月9〜11日に北九州芸術劇場、16〜25日に大阪・梅田芸術劇場で上演する。(井上秀樹)