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即興劇、ニワカに注目 観客巻き込みゲーム感覚

2009年3月28日

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 観客からもらったテーマですぐさま演じる即興劇を、エンターテインメントとして楽しむ人が増えている。演技教育に活用される「インプロ」や、若手俳優らがチームを組んで対戦する「アクトリーグ」が定期公演されている。

 歌や芝居をする「にわか」や、三つのお題を即席落語にする三題噺(さんだいばなし)など、即興性を伴う演芸は昔から日本にあった。現代の即興劇は数分の芝居に仕立てる演劇的要素が強い。

 インプロは「インプロビゼーション(即興)」に由来する。欧米では見せ物としてのインプロシアターが盛んだが、日本ではゲームを通じてコミュニケーション力や表現力をつけようと、大学演劇科のほか一般向けのワークショップや企業研修で用いられる。

 「インプロジャパン」(本社・東京)は、社員研修向けなどのワークショップの傍ら東京・新宿南口のプーク人形劇場で「ネクスト・インプロシアター」を月1回開いている。

 「音楽のジャンル」「架空の物語のタイトル」といった質問用紙に観客が書いた答えを元に、即興ミュージカルなどゲーム感覚のショーを見せる。観客を舞台に上げて演じさせたり、俳優が観客に話しかけて芝居を続けたりすることも。

 「ラーメンの国」というお題が出ると、俳優は「シナチクに乗ると速いなあ」などと話しながら、ファンタジーな世界を作り出していった。

 アルバイトの吉田大輔さんはワークショップでインプロを経験し、常連客に。「段取りの決まっている演劇は角張っているが、臨機応変に対応するインプロは丸い。どこに動くかわからない、サッカーのよう」と例えた。

 池上奈生美社長は「台本のある芝居はテーマやメッセージを奥深く伝えられるが、インプロは予期せぬゴールに向かう面白さがあり、チームワークが育つ」と話す。

 アクトリーグは即興劇を審査員が採点して競う。俳優、お笑い芸人らがチームに分かれ、3分間の芝居を4回、計12分演じる。初めは観客から、その後はチームの監督からお題が出る。関東と関西で年間リーグ戦を開き、最後に日本一を決める。

 会場は東京・新宿東口のスタジオアルタ。2月の関東リーグ開幕戦は、200人の客席に立ち見も出た。

 「さくら」というお題が出れば、卒業記念に最北端の桜を自転車で見に行く男たちの物語が始まる。

 真辺明人コミッショナーは芝居で勝敗を付けることを重視している。「お笑いは客の前で真剣勝負する機会が多い。俳優は役が来るのを待つ仕事だが、自発的に攻めていかせたい」と意欲を見せる。

 この日の「最優秀MVP」保村大和は、失敗するのが怖くて、初めは出演をやめたかった。それでも、「同じ役者がやっているのに、やめるのは負けだから」と続けてきた。今の演劇は金をかける傾向にあるが、役者が舞台で考えていることも見てもらいたい。「そのために、ここで育った人間が大劇場の舞台に出られるようになれば」と言葉に力を込めた。(井上秀樹)

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