現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 舞台
  4. 演劇
  5. 記事

ロックに表現、若者の葛藤 四季ミュージカル「春のめざめ」

2009年5月17日

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真スティーブン・セイター(左)とダンカン・シーク=藤谷浩二撮影

 劇団四季の新作ミュージカル「春のめざめ」が東京・浜松町の自由劇場で上演されている。19世紀のドイツで抑圧された思春期を過ごす若者たちを描いた古典的な戯曲をロックミュージカル化した異色作。2日の開幕を客席で見守った2人の米国人作者が、作品への思いを語った。

 台本・歌詞のスティーブン・セイターは「時代や国、文化の違いを超えて若者の心の声に寄り添った作品。日本での上演は夢でした」と語る。音楽のダンカン・シークは「多くの国で上演されているが、8回ものカーテンコールは初めて」と笑顔を見せた。

 07年の米トニー賞で作品賞など8部門を受賞した。ドイツの劇作家フランク・ベデキントの1891年の戯曲が原作。性の目覚めや教条的で無理解な大人との葛藤(かっとう)に振り回される少年少女を描いた骨太なドラマに、シークの歌曲が勢いと現代性を与えている。

 創作準備中の99年に起きたコロンバイン高の銃乱射事件が、2人の背を強く押した。セイターは「米国の若者は親や社会から疎外され、はけ口がない。彼らの痛んだ心に響くような舞台をつくりたかった」と振り返る。シークは「10代のエネルギーとロックのつながりは普遍的なもの。性への興味や友情の喜び、個室が欲しいといった様々な思いを曲の中でいかに表現するか気を配った」と言う。

 9・11テロの影響で制作は一時中断したが、06年にオフブロードウェーで開幕。次第に観客層を広げ、ブロードウェーに進出した。

 セックスや自慰、自殺を扱った生々しい場面や、スラングを盛りこんだ歌詞といった衝撃的な内容を含むため、家族向けのレパートリーが中心だった四季にとっても上演は挑戦だった。演出補の横山清崇らオリジナル版をよく知るスタッフと、多くが初主演となる若手中心のキャストで日本語版に取り組んだ。

 セイターは大学時代に火事で大けがをしたのがきっかけで、執筆を生涯の仕事と意識するようになった。「大切な持ち物をすべて失い、逃げる際に飛び降りて背骨などを折った。数カ月の入院中に多くの古典を読み、僕も永遠に残るもの、世界の文化に連なるような作品をつくりたいと思った」。過激な表現の底に詩的な祈りを感じさせるのは、ベデキントのみならず、彼の資質でもあるのだろう。(藤谷浩二)

 8月30日まで発売中。電話0120・489444(四季)。

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内